オミクロン株の感染例が、各地で確認され始めました。海外渡航歴のない方や、濃厚接触者ではなくてもオミクロン株の感染例がみられはじめたことから、国や各自治体では、年末年始にかけて感染がひろがることへの警戒が強くなっています。
特にこの時期気になる、受験生の感染対策について、新型コロナ患者の診察にあたる大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師にお話を伺いました。
1月から患者報告数が急激に増える可能性
(安井医師)オミクロン株の感染例が、各地で報告され始めています。大阪では市中感染したとみられる感染例も報告されました。海外では既に、デルタ株からオミクロン株への置き換わりが急激に進んでいることから、感染力が強いという見方も出ています。
この時期、受験を控えているお子さんと、ご家族の方はオミクロン株の発生動向が気になるところかと思います。今、できる感染対策としては、ワクチン接種をおすすめします。ワクチン接種により、ブレイクスルー感染しても症状は軽いことがほとんどです。ワクチンの抗体は自分自身を守るだけでなく、周囲の方へ感染をひろげないためにも有効と考えます。寒くなると、どこも密閉空間になりがちですが、コロナウイルスは飛沫感染、エアロゾル感染でひろがります。家族内でも密になるのを避け、部屋の換気をしましょう。特に、年末年始の時期は人の移動も多く、人が集まる機会も増えます。マスクを着用し、不特定多数の人が集まる密閉空間は避けてください。
今後、急激にオミクロン株への置き換わりがすすみ、1月からは患者報告数が増える可能性があります。オミクロン株についての情報解析が急がれていますが、まだ十分な判断材料がないため、「軽症なのではないか」と早急に判断すべきではありません。新型コロナウイルス感染症は、「風邪と一緒」ではなく、肺炎を起こしやすいウイルスです。ワクチン接種者も含め、基本的な感染対策をしっかりと継続しましょう。
厚生労働省の専門家会合で提唱された年末年始の過ごし方
12月22日に開催された、厚生労働省の専門家会合では、オミクロン株が国内で拡がっているかもしれないという認識をもった行動をするよう強調されました。普段会わない人々との交流が増えることに加え、お正月休みなどの休暇や、年末年始の帰省などによる人の移動も活発化し、感染が急拡大するおそれがあります。感染リスクの高い活動を控え、できるだけ少人数での活動に抑えるよう、呼びかけがなされました。
【基本的な感染対策】
・ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底を継続することが必要。
・追加接種を着実に実施することが必要。自治体では特に、ワクチン未接種者への情報提供を進めること。
・飲食店を利用する際は、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用することが必要。
・外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けること。
・特に帰省や旅行等の際に、発熱等の症状がある場合、県をまたぐ移動は控えることが必要。
・軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、積極的に受診し、検査につなげることも重要。
日頃から、マスクの着用や手指衛生、部屋の換気といった基本的な感染対策をしていきましょう。
引用:厚生労働省「第64回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(令和3年12月22日)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏