【新型コロナ】オミクロン株 年末年始で人の移動が増えると感染者数が一気に増える可能性
2021年12月23日更新
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コビッド(びせいぶつ芸能社)
コビッド(びせいぶつ芸能社)
 厚生労働省が12月22日に開催した新型コロナウイルス対策の専門家会合で、海外渡航歴のない方から、オミクロン株の感染が複数確認されていると報告されました。今後、感染拡大が急速に進むことを想定すべき状況にあるとしています。一方で、重症度については十分な知見が得られていないものの、急激な感染拡大により、医療の提供体制が、急速にひっ迫する可能性も指摘されました。

 国内の発生動向をみると、12月22日時点での新規感染者数は221人で、前週の平均127人と比較して約1.7倍に増えています。11月12日以降、国内の新規感染者数は減少傾向となり、200人を超えることはありませんでしたが、今後、感染者数が増えるおそれはあるのでしょうか。

 この点を、新型コロナ患者の診察にあたる、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師に、お話を伺いました。

年末年始で人の移動が増えると感染者数が一気に増える可能性

 (安井医師)国立感染症研究所によると、南アフリカやイギリスでは、デルタ株からオミクロン株に急速に置き換わりが進んでいます。また、市中感染が報告されている国以外への渡航後にも、オミクロン株の感染例が増加しています。この状況から、オミクロン株の感染性が強く、既に世界各国で流行し始めていると考えられます。

 オミクロン株についての情報は現時点で、十分とは言えません。特に、重症度についての正しい情報はまだ出ていないため、「軽症なのではないか」という判断を早急にすべきではありません。

 日本では水際対策として、海外からの渡航客の入国制限を設けています。水際対策の間に、オミクロン株の流行に備えて治療方法の確立や情報収集、ワクチン接種を引き続き進めていくことが重要です。これにより、医療のひっ迫を避けることにつながります。

 12月から追加接種が始まりました。医療従事者をはじめ、高齢者などの追加接種を迅速にすすめることによって、発病率・重症化率は下がると考えられます。ワクチンの効果が時間の経過とともに下がり、ブレイクスルー感染する事例もみられています。接種券がお手元に届いた方は、早めの接種がおすすめです。

 年末年始の移動で人流が増えると、コロナウイルスは人を介して、無症状であっても感染はひろがるでしょう。オミクロン株の市中感染で、感染者数が一気に増えるおそれもあります。

 引き続き、マスクの着用や部屋の換気といった、基本的な感染対策を怠らないようにしましょう。

引き続き、基本的な感染対策を

 厚生労働省の専門家会合では、オミクロン株が国内で拡がっているかもしれないという認識をもった行動をするよう強調されました。忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、普段会わない人々との交流が増えることに加え、年末年始に向けて帰省などによる人の移動も活発化し、感染が急拡大するおそれがあります。感染リスクの高い活動を控え、できるだけ少人数での活動に抑えるよう、呼びかけがなされました。

【基本的な感染対策】
・ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底を継続することが必要。
・追加接種を着実に実施することが必要。自治体では特に、ワクチン未接種者への情報提供を進めること。
・飲食店を利用する際は、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用することが必要。
・外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けること。
・特に帰省や旅行等の際に、発熱等の症状がある場合、県をまたぐ移動は控えることが必要。
・軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、積極的に受診し、検査につなげることも重要。

 日頃から、マスクの着用や手指衛生、部屋の換気といった基本的な感染対策をしていきましょう。

引用:厚生労働省「第64回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(令和3年12月22日)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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