【感染症ニュース】梅毒 心当たりがある人はすぐに検査を 早期の治療でなおる感染症です
2021年12月22日更新
半年以上前に更新された記事です。

性感染症の予防啓発リーフレット(厚生労働省HPより)
性感染症の予防啓発リーフレット(厚生労働省HPより)
 国立感染症研究所の「注目すべき感染症」として取り上げられているのが、梅毒です。

 2021年第49週(12/6~12/12)までの患者報告数は7,326人で、2018年に累積患者報告数で最多とされた6,923人(最終確定値7,007人)を上回りました。昨年、同時期の5,379人に比べて約1.3倍となっています。

地域別の患者報告数

 ・東京都(2,286人)
 ・大阪府(788人)
 ・愛知県(389人)
 ・福岡県(321人)
 ・神奈川県(303人)

 この点を、感染症専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に取材しました。

全国的に患者が多くなっている

 (安井医師)梅毒の患者報告数は、東京都では2021年第49週の時点で2,286人と、2020年の1,579人から約1.4倍に増えています。

 首都圏をはじめ、全国的に多くの地域で患者報告数が増え、愛知県や福岡県でも増加がみられます。

 年齢別にみると、男性は20〜54歳の年齢層が多く、最も多い年齢層は25〜29歳です。女性は20〜34歳の年齢層から多く報告され、最も多いのは20〜24歳です。

 若い女性の罹患に関しては、今後妊娠した際に子どもが先天梅毒で生まれてくる可能性もありますので、早めに治療し、完治しておくことが大切です。

【年齢別の患者報告数】(2021年第1週~47週時点)
・男性:20〜54歳(計3,894人:男性報告全体の85%)
男性で最も多い年齢群25〜29歳(645人:男性報告全体の14%)

・女性:20〜34歳(計1,544人:女性報告全体の66%)
女性で最も多い年齢群20〜24歳(784人:女性報告全体の34%)

・先天梅毒は19例

 梅毒は治療薬があり、適切に治療をすることで完治する感染症です。途中で薬を飲むのをやめてしまうと、体に残った菌が再燃します。無症状で進行する場合も多く、気づかないまま、パートナーにうつしている可能性もあります。自然に治るわけではなく、進行すると重症化し、命の危険が伴います。

 検査は、お住まいの地域の保健所で、匿名・無料で受けられる場合も多いです。少しでも心当たりがあればすぐに検査を受け、適切な治療を受けていただきたいです。

梅毒について正しい知識をもつことが予防につながる

 国立感染症研究所によると、梅毒は、男女の異性間での性的接触による報告数が増加傾向です。

 例年以上に患者報告数が増えていることから、正しい知識を持ち、予防につとめることが大切です。

【梅毒について】
・不特定多数の人との性的接触が感染リスクを高める
・オーラルセックスやアナルセックスでも感染する
・コンドームを適切に使用することでリスクを下げられる
・梅毒が疑われる症状、例えば性器の潰瘍などに痛みがなくなり、自然消失したとしても治癒したわけではなく、医療機関での治療が必要
・梅毒の陰部潰瘍は、HIVなど他の性感染症の感染リスクを高める
・梅毒は、終生免疫を得られず、再感染することがある

 もしも、心当たりがある場合にはすぐに検査を受け、早期に治療を開始しましょう。

引用:国立感染症研究所「IDWR 2021年第47号<注目すべき感染症> 梅毒」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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