国立感染症研究所の第47週の週報(11/22~28)によると、手足口病の定点当たり報告数は減少しています。
一方で、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較すると、やや多いとされています。
2021年は、8月中旬から九州地方を中心に、手足口病の患者報告数が増え始めました。
それに伴い「感染症・予防接種ナビ」では、手足口病についての疑問も、数多く検索されました。
【皆さまから寄せられた「手足口病」についての疑問】
Q1.市販の抗アレルギー薬で、手足口病は治りますか?
Q2.大人になって、はじめて手足口病にかかると、症状が重いですか?
Q3.発疹が出ている時に、入浴しても良いですか?
Q4.手足口病の発疹がなかなか消えないのですが、痕は残りますか?
Q5.大人が手足口病を疑う場合、何科を受診したら良いですか?
この疑問について、感染症専門医の大阪府済生会中津病院の安井良則医師に、回答いただきました。
手足口病について5つの疑問
Q1.市販の抗アレルギー薬で、手足口病は治りますか?
A1.あくまでも「アレルギー用の薬」なので、手足口病の症状が出ているのであれば、きちんと受診して、医師に相談して対応する薬を処方していただいた方が安心です。
Q2.大人になって、はじめて手足口病にかかると、症状が重いですか?
A2.個人差はありますが、手足口病は幼少期にかかる事が多い感染症です。むしろ子どもの時にかかって免疫をつけていく感染症とも言えるかもしれません。大人になって初めてかかるとは考えにくいですが、近年、コクサッキーA6と呼ばれるウイルスの型は、他の型に比べると水疱性発疹が大きいなど、症状の見た目が派手なので、症状が強く感じられる可能性は考えられます。
Q3.発疹が出ている時に、入浴しても良いですか?
A3.入浴に関しては、特に制限はありません。発疹が出ている時は、患部を強くこすらないようにしましょう。
Q4.手足口病の発疹がなかなか消えないのですが、痕は残りますか?
A4.通常は、発疹の痕は残りません。個人差はあるものの、時間の経過とともに消えていきます。ただし、発疹が出ている箇所を、血が出るまでかきむしっていたり、ひっかいたりすると、痕が残ることもあります。強くこすったりしないように気をつけましょう。
Q5.大人が手足口病を疑う場合、何科を受診したら良いですか?
A5.内科、もしくは小児科です。内科と小児科、どちらも診てくれるクリニックがあれば、そこを受診しましょう。手足口病は、お子さんの看病後に保護者が罹患する可能性もありますので、その旨を医師に伝えてください。
手足口病の予防方法
一般的な予防方法は、手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。
特に、保育所など乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員と子ども達が、しっかりと手洗いをすることが大切です。
おむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと流水と石けんで手洗いをしてください。また、タオルの使いまわしは避けましょう。
手足口病は、治った後も比較的長い期間、便の中にウイルスが排泄されます。また、感染しても発病しないままウイルスを排泄している場合もあると考えられることから、日頃のしっかりとした手洗いが大切です。
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏