【感染症ニュース】子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種 積極的勧奨を再開の方向へ 感染症の専門医の見解は
2021年10月7日更新
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びせいぶつ芸能社
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 10月1日に開催された厚生労働省の専門部会において、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ、ワクチン接種の積極的な呼びかけを再開する方向性が示されました。

 子宮頸がん(HPV)ワクチンは2013年4月に定期接種となりました。

 その後、身体の痛みや運動障害を中心とした多様な症状が報告されたことから、この年の6月に厚生労働省の審議会は、「国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」として、積極的な呼びかけが中止されています。

 専門部会では、近年、海外の大規模調査において、子宮頸がんの予防効果も確認されてきていることや、HPVワクチン接種後に生じた症状と、HPVワクチンとの関連について国内外で調査が行われていますが、ワクチン接種との関連性は明らかになっていないことなどが、論点として取り上げられました。

 一方で、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方への支援策も行われています。

 各都道府県に相談窓口が設置され、個々の症状や居住地等に応じた受診医療機関(協力医療機関等)を紹介するなど、自治体を通じて、支援の強化をはかっています。

子宮頸(けい)がんとは

 「子宮頸がん」とは、女性の子宮頸部にできるがんのことです。

 子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっています。

 このウイルスは、子宮頸がんの患者さんの90%以上で見つかることが知られており、HPVが長期にわたり感染することでがんになると考えられています。なお、HPVは一般に性行為を介して感染することが知られています。

子宮頸がんのおもな症状は

 子宮頸がんは初期の頃にはほとんど症状のないことが多いですが、生理のとき以外の出血や性行為による出血、おりものの増加などが見られることがあります。

 また、進行した場合には、足腰の痛みや血の混じった尿が見られることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。

日本は子宮頸がんでの死亡率が高い

 子宮頸がんとHPVワクチンについて、感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師に、お話を伺いました。

 (安井医師)日本では子宮頸がんが40歳までの女性で、がん死亡率の第2位となっています。これは諸外国に比べても、非常に高い数字といえます。

 日本だけ、子宮頸がんの患者数が減っていませんが、ここ2~3年はHPVワクチンの接種率が徐々に増加傾向にあることから、今後、患者数が減っていってほしいと思います。

 子宮頸がんは、特に20代から30代までの若い女性が、かかりやすい年齢と言われ、妊娠中の検査で子宮頸がんが見つかるケースもあります。

 もし、妊娠中に子宮頸がんと分かった場合、治療と出産のどちらを優先するのか選択を迫られる場合もあります。

 仮に、一時的に治療し、無事に出産できたとしても、再発の可能性もあるので注意しなければなりません。

 その他、子宮頸がんが判明した場合は、子宮の保存的治療か、子宮内の病巣の全摘出手術を行うかの検討も必要になります。

 HPVワクチンは世界でも予防効果が認められています。子宮頸がんはHPVワクチンで感染を防ぐことができますので、接種についての検討をおすすめしたいです。

まずは情報を知り、よく理解してから

 厚生労働省によると、HPVワクチンの安全性や有効性については、各自治体から接種対象者に送付されたリーフレットで、情報を得ることができます。

 対象者本人が、子宮頸がんやHPVワクチンについてよく理解したうえで、接種について検討・判断して、希望する方はワクチン接種を受けることができます。

◇感染症予防接種ナビでは、みなさまからの子宮頸がん予防ワクチンの経験談を募集しています◇

引用:厚生労働省「第69回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)」(令和3年10月1日)
厚生労働省「子宮頸がんについて」

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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