職場や学校などから、家庭内感染に繋がったケースを耳にすることがあります。
流行中の新型コロナウイルスは感染力が強く、不安を抱えながら育児を行う方も多いのではないでしょうか。
今回、取材したのは、育児休業中の36歳の女性です。
女性は、9月上旬に発熱したのをきっかけにPCR検査。「陽性」が判明したとの事です。
濃厚接触者は、5人で、0歳の子どもも含まれています。普段通りの生活を送っていましたが、感染経路は不明とのことで、新型コロナウイルスの感染力の強さに驚いたとのことです。
女性は、ワクチン未接種ながら、軽症。しかし、女性と家族は、ホテルでの療養を余儀なくされました。
女性の家族構成は、自身の父母・配偶者・0歳児を含む子ども2人です。普段は、母・配偶者・2人の子どもと住んでおり、父親は、単身赴任で他県に住んでいます。父親は週末を利用し、自宅に戻っていました。
ワクチン接種予約中に感染
9月4日に、突然の発熱。5日は日曜日でしたので、当番医で受診。翌日6日に、PCR検査を受けたところ、当日に「陽性」と判定が出ました。
1度目のワクチン接種の予約を、9月19日に控えている最中でしたので、正直、「なんでこんな時に」と思いました。
普段は、主人・母・3歳の子どもと0歳の赤ちゃんと住んでいますが、発熱のあった週末にかけて、単身赴任先から父が戻っていました。
保健所からすぐに連絡があり、濃厚接触者の調査が始まり、自宅に残っていた母・主人・子ども2人の4人が検査を受けました。
結果は、母と0歳児の2人が陽性。父は、単身赴任先で、保健所の指示待ち。のちに陽性が判明し、そのまま宿泊療養となりました。
父母は、9月までに2度のファイザーワクチンの接種を終えていましたが、「ブレイクスルー感染」でした。
日常生活では、感染対策などもしていましたし、不必要な外出も控えていました。そのような中で、0歳の赤ちゃんが「陽性」となったのはショックで、今後の症状が心配でした。主人は陰性でしたが、やはり赤ちゃんの症状が気になる様子でした。
症状
幸い、軽症・無症状者向けの宿泊療養施設に空きがあり、9月7日から、10日間の入所となりました。母と赤ちゃんと私の3人が同室でのホテル療養です。
私は、軽症とは言え、熱も39.6℃まで上がり倦怠感が続きました。熱はすぐに下がったものの、部屋でコーヒーを飲もうとしたときに匂いを感じにくくなる嗅覚障害の症状が現れました。新型コロナウイルス感染症との関連は不明ですが、療養中はお腹がゆるくなるなど、胃腸の調子も悪かった気がします。
母は、ワクチンを打っていたので、少し安心していましたが、それでも、37.8℃の発熱や咳・頭痛などの症状がありました。
一方、赤ちゃんは幸い無症状で、普段と変わらない様子でした。しかし、言葉が話せないので、「本当は苦しいのでは?」など体調について急変したりしないか、療養中もずっと気がかりでした。
宿泊療養
宿泊療養先は、看護師さんが常駐されていて、朝7時半とお昼の1時半の毎日2回、健康状態の確認があります。その時間以外に、体調が悪くなった場合は、「医療班」に直接繋がる電話があったので、安心して療養することができました。
一方で、ご飯が支給される時に部屋の外に出られる以外は、ずっと部屋の中でしたので、少し気が滅入りそうになりました。母とは「早く無事に出られるといいね」と話していました。
ブレイクスルー感染した母は…
結果的には症状が軽くすんでよかったです。しかし療養中は、自分や、ワクチン接種していない娘、孫の症状がいつどう変わるかずっと不安でした。
10日間の療養から帰宅後もしばらくは、また発熱しないか、同居家族に感染が広がらないかという心配もありました。
今回、私たちは運よく宿泊療養先に空きがあって、医療班が待機してくださり、お世話をしてもらえたのでとても感謝しています。ワクチン接種していても、発症予防効果と重症化予防効果はあるものの、感染しないわけではなく万全でないことを実感しました。今後も感染に気を付けていきたいです。
感染経路は不明
他県で療養していた父も含め、幸い、家族は無事でした。しかし、行動履歴を調べても、スーパーマーケットや近所の公園にしか外出はしておらず、どこで感染してしまったのか、今でも分かりません。
日常生活でも、外出中は必ずマスクを着用していましたし、こまめにアルコール消毒なども行っていました。それだけ、感染力が強いのだと思います。
赤ちゃんを含め家族が無事でよかった
家族が無事だったことは、不幸中の幸いでした。父母も主人も含めて家族全員が、赤ちゃんと子どもの様子が気がかりな療養生活でした。
父母が軽症で済んだのは、ワクチンのお陰だと話しています。実際、私より症状が軽く済んでいますので。
接種は、個人の自由意思ですが、私は接種した方がいいと思います。
なかなか予約が取れない状況だったとは言え、接種前に、感染してしまったことが本当に悔やまれます。家族にもあっという間に広がってしまいました。
しかし、感染した際にも、ワクチンを接種していることで、重症化しないだろうと言う安心感はあると思います。
今回、子ども1人と主人が陰性だったことで、子どもの世話をできる人がいましたが、主人も陽性だったらと思うと、どうなっていたか…。
お子さんをお持ちの方は、万が一を考え、預け先などを相談しておくことも大切だと思います。
子育て世帯で家庭内感染が発生した時は
東京都によると、育児中の世帯で家庭内感染が発生し、子どもの養育が困難な場合、地域の保健所が、子どもの一時的な預け先についても相談を受け付けているとのことです。
その場合、公的な施設だけでなく、医療機関での預かりについても調整を行うとのことです。ただし、自治体によって判断が異なります。
万が一、子育て世帯で家庭内感染が発生した場合は、お住まいの地域の保健所に相談しましょう。
<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。
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文:感染症ニュース取材班