【感染症ニュース】ヘルパンギーナ 3週連続で報告数が増加 手足口病と合わせて季節外れの流行に注意
2021年9月17日更新
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びせいぶつ芸能社 エンテーロ
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 「夏風邪」の一種ともいわれるヘルパンギーナが、8月下旬から3週連続で報告数が増えています。特に新潟県や宮崎県で報告数が増加しています。

 例年、ヘルパンギーナの感染報告は5月頃より増え始め、7月頃にピークを迎えて8月頃に減少し始め、9月~10月にかけては、ほとんど見られません。しかし、同じウイルス属である手足口病の感染報告が増えており、それと同様、全国的に広がってきているとみられます。

ヘルパンギーナとはどんな病気?

・38~40度の発熱で発症し、同時にのどが痛む病気で、発熱が1~3日続き、食欲不振、全身のだるさ、頭痛などを起こします。
・一般的に経過は良好で、後遺症は残らず、2~3日以内に回復します。
・1~4歳くらいまでの乳幼児がかかりやすい、夏かぜの代表的な病気の一つです。
・ヘルパンギーナは急性期には、喉からウイルスが排出されるため、咳をしたときのしぶきにより感染します。
・急性期~回復期(発症後4週間後ごろまで)には、便からウイルスが排せつされます。

 「感染症・予防接種ナビ」にも、ヘルパンギーナに感染した方からの経験談が寄せられています。

 主に、乳幼児の感染が多いとされていますが、看病にあたった親御さんが感染してしまうケースもあるようです。成人してから感染すると、高熱やのどの痛みが強く、症状が長引く傾向にあるため、注意が必要です。

北海道 アンジェさん(発症時の年齢:30歳)

 まず長女が幼稚園からウイルスをもらい発熱。

 1日ずっと38~39度だったが、1日半後には、すーっと熱も下がり食欲も復活。

 長女が元気になった次の日次女が発熱。38~40度の高熱で母乳と麦茶のみの飲食となるが、長女と同じく1日半で回復。

 その次の日に今度は母親の私が発熱。ひどい悪寒と手足のしびれですぐ内科にかかり検査、診察してもらい、漢方薬とノドの炎症を抑える薬をいただきました。

 それから38~40度の高熱が1日半、娘と同じく続きました。

 大人になってからの高熱も辛いですが、本当に辛かったのはここから…、ノドの痛み!!!

 もともと扁桃腺が大きくて扁桃炎は何度もなったことがあるが、こんなに痛いのは人生初めて!

 喉の奥と歯と唇の間と舌の裏と舌自体に、たくさんの水泡と口内炎が…。

 発熱中はあまり痛くなかったのに、解熱してからが地獄でした。

 ゼリー飲料と栄養補助食品を主に頑張って食べ、栄養をなんとかとろうとするが、痛すぎて解熱鎮痛剤を1日3~4回飲んでしまいました。

 ヘルパンギーナには、もう二度となりたくない!

福岡県 てんぷらさん(発症時の年齢:32歳)

 かなり苦しかったので、現状苦しんでいる方の支えになればと思い記載します。

1日目:夕方から突如発熱。一気に39度を超え、ふらふらに。咳はないのが、コロナでは無いかと不安だった。
2日目:医療機関でヘルパンギーナか溶連菌だと診断。熱は依然高いままだった。様子見ということ。
3日目:相変わらず高熱。若干喉が痛い。
4日目:熱はかなり下がるが、喉に水泡を確認。ヘルパンギーナと確信する。熱は夕方から38度くらいに上がる。
5日目:この日からテレワーク。熱は夕方から37度超えくらいに上がる。のどが激痛である。
6日目:この日もテレワーク。熱はさがったが、喉が激痛。
7・8日目:この日は出社。喉が激痛。
9日目:休日。喉は多少痛みがとれたが、まだ痛い。
10日目:休日。喉はまだ痛い。食事をゼリー以外、再開。即、腹を壊す。
11日目:休日。喉はあまり気にならない。食事後の腹痛が続く。
12日目:回復。

 かなりしんどくて、体重が5キロくらい落ちました。いつかは治るので希望を持ちましょう。

例年と違う感染症の流行時期に注意

 感染症の専門医であり、大阪でコロナ感染者の治療にあたる、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に話を伺いました。

 (安井医師)今年は例年、冬に流行するRSウイルスの感染者が、夏場に急激に増加するなど、感染症が季節外れの流行をみせています。ヘルパンギーナはエンテロ属のウイルスですが、手足口病を引き起こすウイルスとして知られるコクサッキーA6も、元々はヘルパンギーナのウイルスとしても知られています。

 ウイルスには様々な種類がありますから、今年どのウイルスが流行しているのかは、ある程度の感染者数が増えてから、情報が分かります。

 症状の出かたなどで、手足口病なのか、ヘルパンギーナなのか、診断が異なることもあります。どちらも季節外れの流行をみせていることから、RSウイルス同様、感染報告数の推移に注意が必要です。

予防と対策は

 国立感染症研究所によると、「特異的な治療法はなく通常は対症療法のみであり、発熱や頭痛などに対してはアセトアミノフェンなどを用いることもある。時には脱水に対する治療が必要なこともある。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要であるが、後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれる。

 特異的な予防法はないが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどである。」としています。
 
 基本的な感染対策である、うがいや手洗いの励行などを行いましょう。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。

◇感染症予防接種ナビでは、ヘルパンギーナに感染した方からの経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「風しん、ヘルパンギーナ(PDF)」
国立感染症研究所「ヘルパンギーナとは」

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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