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5月15日に厚生労働省が開催したシンポジウムで発表された、神戸大学をはじめとする研究グループの報告によると、5月10日時点で全国の総合・地域周産期のうち、222施設から417人の妊婦の感染報告があったということです。
特に妊婦の方が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する可能性があります。妊婦本人のみならず、胎児への影響等も考えれば、ワクチンを接種したいと考える方が多いと思います。
一方、妊娠中にワクチンを接種できるのか、不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。日本産婦人科感染症学会・日本産科婦人科学会は、妊娠13週を超える妊婦への接種は原則問題ないとしています。
また、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、実際に新型コロナウイルスに感染した妊婦を診療した経験から、「本人のみならず、お腹の赤ちゃんへの影響も考えれば、妊婦さんにもワクチンを接種する機会を与えてほしい。まずは産婦人科の主治医に相談しましょう。」と話しています。
不安のある妊婦さんは、まず主治医に相談してみてはいかがでしょうか。
学会の見解は
妊婦のワクチン接種について、日本産婦人科感染症学会・日本産科婦人科学会は、現時点では接種のメリットがリスクを上回ると考えられるとし、流行拡大の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しないことを提言しています。妊娠13週以降の妊婦で母体・胎児などに問題がなければ、接種は可能との見解です。
一方、注意すべきなのが、接種する時期です。特に、流産しやすい時期である妊娠12週以内の妊婦は接種すべきではないとしています。器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避けるべきとしています。
ただし、重症化リスクとされている高血圧や糖尿病などの基礎疾患があり、感染リスクを心配される妊婦さんもいると思います。そういう方は、まず産婦人科の主治医に相談しましょう。
ご自身やお腹の赤ちゃんを守るために
何よりも大切なのは、新型コロナウイルスに感染しないことです。
妊娠中の方は普段に増して、感染予防を心がけましょう。
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出典:厚⽣労働特別研究・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する⺟⼦保健領域の研究報告シンポジウム「新型コロナウイルス感染症流行下における、妊婦に対する適切な支援提供体制構築のための研究 」
引用:日本産婦人科感染症学会・日本産科婦人科学会「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第2版)」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏