RSウイルス感染症が各地で拡がりをみせています。
この感染症は、人の移動に伴って感染が拡がる傾向があります。
4月は、入学や就職などで人の動きが活発になる時期であり、今後益々感染者数が増えることが懸念されます。
RSウイルスは年齢を問わず感染しますが、特に0~1歳の免疫を持っていない乳幼児が感染すると、重症化し入院するケースも珍しくありません。
直近の感染状況
国立感染症研究所が公表している第12週(3/22~3/28)の小児科定点医療機関からのRSウイルス感染症患者報告の結果によると、九州地方から東北地方まで広範囲にわたって感染が拡大しています。例年は11月~12月にかけて流行のピークを迎えますが、今年に入ってから患者報告数が増加し続けており、季節外れの流行をみせています。ここ数年、大きな流行がみられなかったため、一度流行すると長引くことが予想されます。
都道府県別の患者報告数上位は、佐賀県(5.35)、宮崎県(5.22)、長崎県(4.95)となっています。広島県など、第11週(3/15~3/21)に比べ患者報告数が2倍以上増加している地域もありますので、人の往来頻度が高い近隣地域は今後の動向に注意が必要です。
症状
発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続いた後、初感染の小児の20~30%に、気管支炎や肺炎など下気道の症状があらわれることがあります。RSウイルス感染症は、乳幼児における肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告もあります。
予防方法
RSウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染と接触感染です。特効薬はなく、ワクチンはまだ実用化されていません。
飛沫感染対策としてマスクを着用して子どもに接することが大切です。接触感染対策としては、手洗いと消毒により手指の衛生を徹底し、子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すり等をこまめに消毒することが重要です。
感染力が強く、周りの大人たちを経由して感染する可能性があるため、RSウイルスに感染した乳幼児を抱っこした人は、他の赤ちゃんを抱っこしないよう注意してください。ご家族以外にも、保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
感染症予防接種ナビでは、RSウイルス感染症の経験談を募集しています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏