【感染症ニュース】集団生活において気をつけたい感染症と予防方法
2021年4月6日更新
半年以上前に更新された記事です。

 新年度を迎え、入学や進学によって、新しい場所、新しい先生や友だちとの関わり等、回りの環境が大きく変化するお子さんも多いと思います。

 新たに集団生活を始めるにあたり、知っておきたい感染症やその予防方法についてご紹介します。

集団生活において気をつけたい感染症

 小学校などの集団生活で気をつけたい感染症(学校感染症)は、学校保健安全法によって第一種から第三種まで分類されています。

・第一種感染症は完全に治るまで出席できない感染症です。日本ではあまり発症例がないものが多いですが、ポリオやジフテリアなど、定期予防接種に入っているものも含まれています。 

・第二種感染症は、感染症ごとに定められた出席停止の期間は出席できない感染症です。主に飛沫感染や空気感染する感染症で、インフルエンザ、百日咳、麻疹、風疹、水ぼうそうなどがあります。

・第三種感染症は、他の人にうつすおそれがないと認められるまで出席できない感染症です。O157などの腸管出血性大腸菌感染症、はやり目と呼ばれる流行性角結膜炎などがあります。また、溶連菌感染症、手足口病、ヘルパンギーナなども、出席ができない場合があります。

感染症の主な感染経路について

 感染症には、様々な感染の仕方( = 感染経路)があります。咳やくしゃみなどに含まれる病原微生物によって感染する「飛沫感染」。空気中に浮遊する病原微生物によって感染する「空気感染」。皮膚や粘膜の直接的な接触で感染する「接触感染」。病原体に汚染された食品などから感染する「経口感染」もあります。

効果的な予防方法について

 それぞれの感染経路によって効果的な予防方法をご紹介します。

【飛沫感染】(代表的な感染症:おたふくかぜ、インフルエンザ、溶連菌感染症など)・・・飛沫感染を防ぐには、まず第一に咳エチケットです。人に向けて咳やくしゃみを発しない = 他人に飛沫を浴びせない、咳やくしゃみが出そうになったら、ハンカチやティッシュ、タオルで口を覆いましょう。そして、特に流行の時期はマスクを着用するのが大切です。マスクは、人に飛沫を浴びせない、そして、人からも飛沫を吸い込まないという、どちらにもメリットがあります。なお、おたふくかぜやインフルエンザなどはワクチン接種が最も効果的な予防方法になります。

【空気感染】(代表的な感染症:麻疹、水ぼうそう、結核など)・・・例えば、麻疹ウイルスは直径100~250nmという非常に小さな飛沫(=飛沫核)で空気中を浮遊します。残念ながら、空気感染を防ぐことのできる物理的手段(マスクの着用など)として効果的なものはありません。唯一の予防手段はワクチンの接種のみです。

【接触感染】(代表的な感染症:ロタウイルス感染症、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱など)・・・接触感染対策として重要なことは、感染者との密接な接触を避けることや手指の衛生です。流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。また、よく手を触れるものを中心に消毒を行うことも、重要な感染対策となります。またロタウイルス感染症では間接接触による感染が多いことから、罹患児の隔離、感染源である糞便やおむつの適切な処理、衛生的な手洗い(特に母親と医療従事者)、汚染された衣服の次亜塩素酸消毒などが徹底される必要があります。

【経口感染】(代表的な感染症:腸管出血性大腸菌感染症、カンピロバクター感染症など)・・・O157などの腸管出血性大腸菌は牛肉など、カンピロバクターは鶏肉などが感染症の原因になっています。しっかりと加熱し、確認しながら食べていただくということが重要になります。表面だけでなく、中心部も色が変わっていて、加熱されていることを確認することが大切です。また、調理や食事前には流水・石けんで充分に手を洗い、まな板などの調理器具を清潔に保ちましょう。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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