【感染症ニュース】カンピロバクター感染症 経験談が多数投稿 鶏肉の生焼けには注意
2021年3月12日更新
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生肉には多くの細菌が付着しています
生肉には多くの細菌が付着しています
 感染症・予防接種ナビに寄せられる経験談の中から最近特に多い感染症についてご紹介します。今回はカンピロバクター感染症です。

 厚生労働省が発表する最新(2019年)の食中毒統計資料・病因物質別患者数によると、カンピロバクター感染症が、細菌性食中毒の中で1位となっています。

 一般的に細菌性の食中毒は夏期に多発しますが、近年では冬期にも発生が増加しています。

カンピロバクター感染症とは

 カンピロバクター属菌は家畜や家禽(鳥類に属する家畜のこと。ニワトリ、ウズラ、七面鳥など)の腸管や生殖器に感染する微生物です。1970年代にヒトの下痢症の原因であることが確認され、感染性腸炎の原因菌として広く認識されるようになりました。

カンピロバクターに感染すると

 この感染症は潜伏時間が1~7日間とやや長いことが特徴で、嘔吐・発熱・腹痛などの症状がみられます。

 また、はっきりとした因果関係は不明ですが、末梢神経の障害により四肢や顔、呼吸器官に麻痺などが起こる難病のギラン・バレー症候群を発症する一因とも言われています。

外食だけでなく家庭でも 鶏肉等の生焼けには注意しましょう

 主な感染源のひとつが、汚染された鶏肉で、加熱が不十分な場合に感染を引き起こすことが分かっています。

 外食だけでなく、家庭での調理によって感染することもあるようです。特に鶏肉を食べる際は生焼け等を避け、十分に加熱してから食べるよう注意しましょう。

 厚生労働省は家庭でのカンピロバクター食中毒の予防方法として以下のことを提言しています。

【カンピロバクター食中毒の予防方法】
(1)食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)することが重要である。具体的には未加熱又は加熱不十分な鶏肉料理を避けることが最も効果的である。
(2)二次汚染防止のために、食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う。
(3)食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う。
(4)食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うことが重要である。

*ギランバレー症候群(GBS)は、一般的に、細菌・ウイルスなどによる上気道の感染や下痢などの感染から1~3週後に、両足に「力が入らない(筋力低下)」や「しびれる(異常感覚)」などを発症します。

 筋力の低下は急速に上方へ進行し、足全体や腕にもおよび、歩行時につまずく、階段をのぼれない(運動麻痺)に至ることがあります。さらに、顔の筋肉が麻痺する、食べ物が飲み込みにくい、声が出にくい、物が二重に見える、呼吸が苦しいなどの症状が起こることもあります。

感染症予防接種ナビでは、カンピロバクター感染症の経験談を募集しています。

引用:国立感染症研究所「カンピロバクター感染症とは」
   厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
   厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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