【感染症ニュース】新型コロナワクチンの有効性と安全性について
2021年3月1日更新
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大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏
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 新型コロナウイルスのワクチンについて、2月17日より医療従事者への先行接種が始まりました。

 厚生労働省によると、接種を行う期間は、令和4年2月末までの予定で、医療従事者等への先行接種後、高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種を進めていく見込みです。接種を迷っている人もいるかもしれません。

 ワクチンの効果や副反応への不安や疑問について、感染症の専門医である大阪府済生会中津病院感染管理室室長の安井良則氏へ聞きました。

Q.新型コロナワクチンについて教えてください。
A.これまでのところでは、ファイザー社(メッセンジャーRNAワクチン)、アストラゼネカ社(ウイルスベクターワクチン)、モデルナ社(メッセンジャーRNAワクチン)の3社の研究開発が先行しています。

ファイザー社とモデルナ社のワクチンはイギリス、アメリカ、EU等で、アストラゼネカ社のワクチンはアメリカでの接種が開始されています。

また、日本国内においては、大阪大学とタカラバイオ(DNAワクチン)、塩野義製薬と国立感染症研究所(遺伝子組換えタンパクワクチン)の開発が先行していますが、海外の先行メーカーよりは大きく遅れています。

日本での接種については、2020年12月に承認申請されているファイザー社製のワクチンが厚生労働省によって2月14日に特例承認され、2月17日より医療従事者への先行接種が開始されました。今後は、2月5日に承認申請されているアストラゼネカ社、国内で臨床試験中であるモデルナ社の順に接種が開始していくと予想されます。

Q.新型コロナワクチンの有効性について教えてください。
A.一般的にワクチンとして開発される医薬品については、有効性及び安全性を検討するために、3段階に分けた臨床試験が実施されます。新型コロナワクチンについて、いくつかの海外メーカーのワクチンでは、すでに最終段階となる第Ⅲ相の臨床試験が実施されています。中間解析結果では、ワクチンの有効性(発病予防効果)について、ファイザー社製が95%、モデルナ社製が94.5%、アストラゼネカ社製が70%でした。

Q.新型コロナワクチンの安全性について教えてください。
A.ファイザー社の第Ⅲ相の臨床試験では、接種部位の反応で多かったのは、軽度または中等度の痛みで、16~55歳で約80%、55歳以上で約70%に認められ、概ね2日以内に解消しました。

また、ワクチンに含まれる成分に対する急性のアレルギー反応であるアナフィラキシーの発生頻度について、アメリカCDCのまとめによると、約9万接種に1例でした。

妊婦等の新型コロナワクチン接種について

 現時点において、厚生労働省は、妊婦・授乳中の方について「接種は可能」としています。

 ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、海外の実使用経験などから現時点で特段の懸念が認められているわけではないが、安全性に関するデータが限られていることから、接種のメリットとデメリットをよく検討して接種を判断してもらいたいとしています。ワクチン接種について悩んでいる方は、主治医と相談することをお勧めします。

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引用:厚生労働省「新型コロナワクチンについて」
内閣官房「ワクチンの副反応に対する考え方及び評価について」

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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