2月は"風しんゼロ"月間です。
風しんは感染力が高いため、風しんにかかってしまった時は、妊娠中の女性へうつさないよう、生まれてくる赤ちゃんが先天性風しん症候群にならないよう、みんなで一緒に風しん対策をしていくことが大切です。
先天性風しん症候群とは
先天性風しん症候群とは、風しんウイルスの胎児感染によって先天異常を起こす感染症です。免疫のない女性が妊娠初期に風しんにかかると、風しんウイルスが胎児に感染して、出生児に先天性風しん症候群 (CRS)と総称される障害を引き起こすことがあります。
先天性風しん症候群(CRS)の3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3ヵ月以内の母親の感染で発生しますが、難聴は初期3ヵ月のみならず、次の3ヵ月の感染でも出現する症状です。しかも、高度難聴であることが多いとされています。3大症状以外の症状には、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたっています。
予防には風しんワクチンの接種を
先天性風しん症候群は、それ自体の治療法がありません。予防のためには、妊娠を予定または希望する女性は、妊娠前に風しんワクチンを受け、風しんの免疫を獲得しておくことが最も重要です。また、妊婦への感染の可能性を減らすため、妊娠後に風しんの免疫が十分でないと分かった場合は、妊婦の周囲にいる夫や家族、職場の同僚なども風しんにかからないよう、風しんワクチンを受けておくことをお奨めします。
成人男性の予防接種 追加的対策について
2019年度から3年間、これまで風しんの定期接種を受ける機会がなかった昭和37年4月2日生まれから 昭和54年4月1日生まれの男性を対象に、風しんの抗体検査を前提に、定期接種を実施しています。
平成2年4月2日以降に生まれた人は2回ワクチンを受ける機会がありましたが、それより年齢が上の人は受けていても1回。そして、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回もその機会がありませんでした。
過去に「風しんにかかったことがある」と考えている人の中には、実際にかかったのは「麻しん(はしか)」など別の病気で、風しんの免疫が無い人も少なくありません。風しんにかかったかどうかや、ワクチンを受けたことがあるか曖昧な場合は、風しんの予防対策を検討しましょう。
妊娠中の女性へ
妊娠中の女性は風しんワクチンを受けられないため、特に流行地域においては、抗体を持たないまたは低い抗体価の妊婦の方は、可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるようにしてください。また、風しんの免疫が十分でない妊婦の周りにいる方(妊婦の夫、子ども、その他の同居家族等)は、妊婦への感染を避けるため、風しんの免疫が十分と確認できた方以外は、任意での予防接種を受けることを検討のうえ、風しんを発症しないよう予防に努めてください。
妊娠中の方で、風しんに対する十分な免疫がない方は、風しんの感染を避けるために、次のようなことに注意して生活してください。
・妊娠中はできるだけ人混みを避ける
・夫や同居している家族などにはすぐに風しんワクチンの接種を検討してもらう
・自分や家族、職場の人などが風しんとわかったら、かかりつけの医師に相談する
・出産後、できるだけ早く、風しんワクチンの検討をする
監修:国立感染症研究所感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長 多屋馨子氏