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新型コロナウイルス感染症は飛沫などを通して感染することが分かっていますが、発症直前から直後においてウイルスの排出量が多くなるとされています。また、発症前は、発熱や味覚異常・呼吸困難などの症状が無いため、自分が感染していると気づかず、普段と変わらない生活を送る中で無意識のうちに周りに感染を拡げている可能性もあります。
マスクの効果
厚生労働省は以下のとおり提言しており、マスクの効果について3つのポイントを挙げています。
・マスクの素材による効果の違いと選択について
マスクの素材ですが、一般的なマスクでは、不織布マスクが最も高い効果を持ちます。次に布マスク、その次にウレタンマスクの順に効果があります。もちろん、人の顔の形は千差万別ですので、同じ素材のマスクの間でも、自分の顔にぴったりとフィットしているマスクを選ぶことが重要です。また、マスクのフィルターの性能や布の厚さなどによっても差が出ます。
・マスクの着用による効果の違いについて
マスクは、相手のウイルス吸入量を減少させる効果より、自分からのウイルス拡散を防ぐ効果がより高くなります。仮に50センチの近距離に近づかざるを得なかった場合でも、相手だけがマスクを着用(布マスクで17%減、不織布マスクで47%減)するより、自分だけがマスクを着用(布マスク又は不織布マスクで7割以上減)する方が、より効果が高く、自分と相手の双方がマスクを着用することで、ウイルスの吸い込みを7割以上(双方が布マスクで7割減、不織布マスクで75%減)抑える研究結果があります。
・マスクの着用が必要とされる場面について
特に、室内で会話を行う場合は、マスクを正しく着用する必要があります。また、屋外ならばマスクは不要ということではありません。感染防止に必要な「最低1メートル」の間隔を確保できない場合もありますので、やはりマスクは重要です。自分から相手への感染拡大を防ぐために、話す時はいつでもマスクを着用しましょう。
マスクの重要性
現在、経路が不明のまま感染し発症するケースが全国で多く発生しています。
マスクは、自分からの飛沫によるウイルス拡散を防ぐ効果が高いため、自分の周りの人たちを感染から守ることに繋がる重要な役割を持っているのです。したがって、無症状感染者がマスクを着用せずに近距離で会話することで、飛沫によってウイルスを拡散しやすい状況を作り、この状態で、公共交通機関や飲食店などを利用した場合には市中感染を拡げてしまうリスクもあります。
医療機関受診時にも必ずマスクの着用を
医療機関を受診する方は、何らかの体調不良などで外来診療を利用されており、中には新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい基礎疾患を抱えている方も多数いらっしゃいます。
たとえ体調に異変を感じていなくても、自分が感染している可能性は否定できません。また、症状が現れていないだけで、すでに新型コロナウイルスへの感染初期段階かもしれません。
受診の際は、他の患者さんや医療関係者へ感染を拡げないために、必ずマスクを着用しましょう。
差別や偏見はやめましょう
感染者や濃厚接触者、医療従事者やその家族などへの差別や偏見、誹謗中傷などが横行しています。敵はウイルスであって、人ではありません。こうした行為は社会的な息苦しさや不必要な不安を生み出すことになるため、やめるべきです。
医師や看護師をはじめとする医療従事者は、自らも感染するリスクや恐怖と闘いながら、日々懸命に感染者と向き合っています。
私たちがすべきことは、自らも感染者になる可能性があることを理解し、この感染症について正しく知り正しく恐れ、自分や周りの人を守るために出来る限りの対策を行うことではないでしょうか。
最後に
感染症予防接種ナビでは、新型コロナウイルスに感染した方からの経験談を募集しています。
また、新型コロナウイルスをはじめとする感染症についての疑問やお悩みに、感染症の専門家がお答えします。
引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 の“いま についての 10 の知識」
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏