【感染症ニュース】新型コロナウイルス感染症 現場で患者と向き合う医療従事者が語る医療の現状について
2020年12月25日更新
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感染対策を意識して行動できていますか?
感染対策を意識して行動できていますか?
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 現在、大阪では、新型コロナウイルス感染症の重症者数が増え続けており、重症患者用の病床運用率は12月9日の時点で82.1%に達しています。そのため、たとえ高齢であっても、症状が軽い場合は入院できず、症状が重くなってから入院するため、呼吸状態がよくないケースも多く、人工呼吸器を必要とする患者が増えています。

 冬期を迎え、全国で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症治療の現場で日々患者と向き合う、大阪府済生会中津病院感染管理室室長の安井良則氏に医療現場の現状についてお聞きしました。

入院患者の感染経路は?

 市中感染よりも、今は家庭内感染が増えてきています。特に男性が家庭内に持ち込むケースが多くなっているようです。

 入院している高齢の重症者の感染経路をたどると、社会経済活動を支えている30代~50代の息子が飲食店やカラオケ等で感染し、さらに家庭内で80代の母親に感染するといったケースが多くなっています。

各地で看護師の人手不足が懸念されていますが・・・

 今まで新型コロナウイルス感染症対応をしていなかった病院も対応を始めたことから、看護師が他の病院やセンター等へ応援に行くケースも出ています。

 看護師の数は、潤沢に足りている訳ではなく、人工呼吸器を扱うことができる看護師は限られているため、人手不足には頭を悩ませています。

 そのような厳しい状況の中でも、「患者さんを助けたい」という思いだけで、モチベーションを保ち頑張っている看護師も多いと思います。

医師として看護師さんにどのようにお話しているんですか?

 医師がやる気を無くしたら終わりです。

 「新型コロナウイルス感染症の流行は、いつか必ず終わりが来る。そこまで頑張らなければいけない。誰かがやらなければならない。」看護師長に話しかけた言葉です。

 感染対策を行いながらの医療は、看護師たちへの大きな負担となっています。
私たち医師は、看護師らスタッフに「何のために患者を診ているのか」を丁寧に説明しながら、心のケアを行っています。

 今回は大阪の医療現場の状況をお伝えしましたが、今後、同様のことが全国的に広がっていくだろうと安井良則氏は言います。

 たしかに、社会経済活動は必要なことですが、その一方で、医師や看護師をはじめとする医療従事者たちが、強い意志を持って日々懸命に命と向き合っていることを、決して忘れてはいけません。

 「何のために手洗いやマスクをするのですか?」「本当に今必要な外出ですか?」この未曾有の危機を乗り越えられるかどうかは、これからの私たち一人ひとりの行動にかかっています。

各国の状況

 WHOの発表によると、2020年12月9日現在、世界の患者数は約6,778万人、死亡者数は約155万人を数えています。

日本国内の状況

 厚生労働省によると12月9日現在、日本国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は165,840例、入院治療等を要する者は22,550名でうち重症者は555名、退院又は療養解除となった者は140,622名、亡くなったのは2,420名となっています。また314名が確認中とされています。都道府県別の数字は、こちらで確認できます。



■参考リンク:新型コロナウイルス感染症対策分科会からの提言感染リスクが高まる「5つの場面」

■参考リンク:厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

■参考リンク:内閣官房新型コロナウイルス感染症対策業種ごとの感染拡大予防ガイドライン一覧

■参考リンク:厚生労働省新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安

■参考リンク:厚生労働省新しい生活様式の実践例

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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