【感染症ニュース】ノロウイルス感染症 例年流行する12月が近づく ノロウイルスの正しい対応方法を確認しましょう
2020年11月18日更新
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ノロウイルスには「塩素系消毒剤」が有効です
ノロウイルスには「塩素系消毒剤」が有効です
 今年は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、インフルエンザやRSウイルス感染症等、様々な感染症の患者報告数が大きく低下しています。ノロウイルス感染症の患者報告数も例外ではなく、例年流行のピークとなる12月が近づいているにもかかわらず、患者報告数の増加は認められていません。しかし、1年で最も流行する季節が近づいていますのでノロウイルス感染症への対策にも注意が必要です。特にノロウイルスには、アルコールではなく、塩素系の消毒剤でなければ効果的な消毒はできません。ノロウイルスの正しい対応方法を確認しておきましょう。

<感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症を含む)について>

患者数の動向

 IDWRの速報データによると
 2020/10/19~10/25(第43週)は、定点把握疾患(週報告)が5574件(1.76)
 2020/10/26~11/1(第44週)は、定点把握疾患(週報告)が5440件(1.73)
 2020/11/2~11/8(第45週)は、定点把握疾患(週報告)が5662件(1.79)

地域別情報

 2020/11/2~11/8(第45週)の速報データによる、定点当たり報告数が最も多い順
 山形県(6.31)
 福岡県(5.24)
 大分県(4.44)

ノロウイルス感染症とは?

 ノロウイルス感染症とは、病原体に汚染された食品などから感染する「経口感染」などで広がる感染症です。流行のピークは12月で、1~2日の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が出ます。症状は数時間から数日で収まり、余程のことがない限り重症化することはありません。しかしノロウイルス感染症には、予防接種のワクチンも抗ウイルス薬も実用化しているものがないため、ウイルスが感染して発症してしまうと、整腸剤などの対症療法しかないのが現状です。

ノロウイルスの対応

 ノロウイルスに関係していると考えられる嘔吐物や下痢便を発見した場合には、しっかりとペーパータオル等で拭き取り、取り除いたあとの場所を塩素系の消毒剤でしっかりと消毒することが大切です。

 (1)嘔吐物や下痢便の処理をする時には、マスク、手袋、ゴーグルなどをして、直接ウイルスが体につかないようにする。

 (2)処理をする人以外を近づけないようにする。

 (3)嘔吐物や下痢便をペーパータオルなどでよく拭き取り、ビニール袋に入れて密封してから捨てる。

 (4)汚物を取り除いた後の床には、まだノロウイルスが残っているので塩素系消毒薬で消毒する。家庭用の塩素系漂白剤の原液を水で薄めたもので消毒剤ができる。(500mlのペットボトルに水を入れて、キャップ1杯の原液を加えると、およそ100倍に希釈した消毒液ができる。塩素濃度約200ppm)

 (5)汚物のあった場所を中心に広い範囲を消毒する。ノロウイルス感染症を発症されている方は体のあちこちにウイルスが付着しているのでドアノブ、階段の手すり、トイレの便座なども塩素系の消毒剤でこまめに拭きとり消毒する。

 (6)タオルは別々に使う。

 ※インフルエンザウイルスには消毒用のアルコールも効果があります。また塩素系の消毒剤も効果があります。

ノロウイルス感染症の意外な感染源

 ノロウイルス感染症の意外な感染源が、「舞い上がったホコリ」です。嘔吐物や下痢便に対して、適切な処理をしない場合、その場所に残存しているノロウイルスがホコリとともに舞い上がって、その日だけでなく、数日を経ても、その場所を歩いただけの人がそのノロウイルスを吸い込んで感染してしまうことがあります。

ノロウイルス感染症にかかった人に対して注意すること

 嘔吐、下痢をすることによって脱水症状になってしまうので、できるだけこまめに水分を与えることが一番大切です。それから、非常にまれですが、上を向いたまま寝ていて嘔吐をしたことによって嘔吐物を喉に詰めて窒息する例がありますので、特に小さなお子様や高齢者の方の場合、仰向けではなく横を向いて寝かせてあげてください。

ノロウイルスの予防には手洗いが重要

 ノロウイルス感染症の感染経路としては、保育園や学校、ご高齢者の方々の施設等で爆発的に集団感染する場合、人から人への接触感染で広がっていることが大半であると考えられます。よって、ノロウイルス感染症の感染予防策として大切なことは、接触感染を防ぐための流水・石鹸による手洗いが一番重要です。

▼ノロウイルス感染症について詳しく見る

▼「学校、幼稚園、保育所で予防すべき感染症感染症毎の登校」について詳しく見る

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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