【感染症ニュース】新型コロナウイルス感染症流行下でも可能な限り適切な時期に子どもたちへの接種を 乳幼児の予防接種(肺炎球菌、百日咳、ジフテリアなど)
2020年8月27日更新
半年以上前に更新された記事です。

予防接種を受けよう!
予防接種を受けよう!
 ※2020年5月21日配信の記事を再編集しています。

 1歳児が定期予防接種の対象であるはしか、風しん、水ぼうそうのみならず、0歳児から定期接種が始まる肺炎球菌、インフルエンザ菌(ヒブ)、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、結核などはすべて、子どもたちがワクチンを接種せずに感染、り患すると、重症化し時には命にかかわる疾患ばかりです。

 新型コロナウイルス感染症の流行により、子どもたちを医療機関に連れて行って定期接種を受けさせることが遅れてしまい、万が一接種率が下がって、定期接種の対象となっている感染症が流行すると、多くの子どもたちが病院に入院して治療を受けないといけない状況となり、中には重症となるお子さんも見られると予想されます。たとえ新型コロナウイルス感染症が流行している状況であっても、子どもたちへの予防接種は、可能な限り適切な時期に受けるようにしましょう。

0歳児の予防接種

 予防接種は、標準的に、生後2か月から始まります。0歳児の間に、定期接種としてB型肝炎(水平感染予防)、インフルエンザ菌b型(ヒブ、Hib)、小児用肺炎球菌、四種混合ワクチン、BCGワクチン、任意接種としてロタウイルスワクチン(2020年10月から定期接種となります)の、合わせて6種類を接種します。乳幼児期にかかると命にかかわる症状となる感染症も含まれており、予防接種は重要です。受け忘れがないよう、スケジュールを確認しましょう。また、日本脳炎ワクチンも定期接種として生後6か月から接種可能ですが、標準的な接種年齢は3歳以上とされています。

乳幼児の予防接種を上手に乗り切ろう!!~初めての予防接種~

B型肝炎ワクチン(水平感染予防)

 接種年齢は1歳未満で、標準的な接種期間は、生後2か月以上9か月未満とされています。1回目から27日以上あけて2回目、1回目から139日以上あけて3回目とされています。

B型肝炎とは

B型肝炎ワクチン

ロタウイルスの予防接種

 先進国、発展途上国を問わず、り患率が高く、ほとんどすべての子どもが4~5歳までに感染します。生後2歳未満の時期に感染するともっとも重症化しやすいといわれており、入院治療を必要とする乳幼児下痢症の35~52%がロタウイルスによるものです。

 かかりやすいのは乳幼児で、特に1歳児に多く、年齢が上がるにつれだんだんと減っていきます。脱水などのために入院治療が必要となるのはほとんどが就学前(6歳以下)の乳幼児で、2歳未満の乳幼児(ただし、3か月以上)が過半数を占めます。

 ロタウイルスワクチンは、1価ロタウイルスワクチンと5価ロタウイルスワクチンの2種類が日本国内において認可されています。1価と5価で接種スケジュールに違いがありますが、両方とも生後6週から接種が可能で、1回目は生後14週6日までが望ましいとされています。ロタウイルスワクチンは、現在は任意接種ですが、2020年10月から定期接種化されます。

ロタウイルス感染症

ロタウイルスワクチン(1価、5価)

インフルエンザ菌b型(ヒブ、Hib)

 インフルエンザ菌は、季節性のインフルエンザウイルスと同じ名前ですが、別物です。ヒトの鼻咽腔に常に存在しており、その多くは無莢膜株ですが、小児の髄膜炎や敗血症例から検出される株は、95%以上がHibです。

 インフルエンザ菌b型(ヒブ、Hib)ワクチンの標準的な接種スケジュールは、生後2か月になったら1回目、そこから27日以上あけて2回目、更にそこから27日以上あけて3回目、そして3回目から7か月以上開けて4回目を接種します。

インフルエンザ菌感染症(ヒブ感染症)

Hibワクチン

肺炎球菌感染症

 肺炎球菌感染症は、肺炎球菌による感染症です。

 肺炎球菌は、乳幼児の鼻咽頭に高い確率で定着する常在菌で、暇圧感染により伝播する小児の細菌感染症の主要な原因菌です。保菌者のすべてが発症するわけではなく、抵抗力の低下や、粘膜バリアの損傷等により、宿主と菌の間の均衡が崩れて菌が体内に侵入すると発症します。

 症状は、髄膜炎、敗血症・菌血症、肺炎、中耳炎等、多岐にわたりますが、本来無菌であるべき部位(血液、髄液等)から菌が検出される病態を侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)といいます。髄膜炎、敗血症・菌血症、血液培養養成の肺炎等が特に問題とされます。IPDは2歳未満の乳幼児で特にリスクが高く、ときに致命的であり、救命しても後遺症を残す可能性があるため、接種が可能になる2か月齢以上の乳児では積極的にワクチンによる予防を講じることが重要になります。

 肺炎球菌ワクチンの標準的な接種スケジュールは、生後2か月になったら1回目、そこから27日以上あけて2回目、更にそこから27日以上あけて3回目、そして1歳になったら4回目を接種します。

肺炎球菌感染症

肺炎球菌感染症(動画)

肺炎球菌ワクチン

ポリオ、ジフテリア、破傷風、百日咳(四種混合ワクチン)

 ポリオはポリオウイルスが脊髄神経前角の運動神経核を侵すことで四肢を中心とする全身の筋肉の運動障害、いわゆる弛緩性麻痺(だらりとした麻痺)を起こす急性ウイルス感染症です。ジフテリアはジフテリア菌の感染によって生じる上気道粘膜疾患ですが、眼臉結膜・中耳・陰部・皮膚などがおかされることもあります。感染、増殖した菌から産生された毒素により昏睡や心筋炎などの全身症状が起こると死亡する危険が高くなりますが、致命率は平均5~10%とされています。破傷風は、破傷風菌による毒素のひとつである神経毒素(破傷風毒素)により強直性けいれんをひき起こす感染症です。百日咳は、特有のけいれん性の咳発作を特徴とする急性の呼吸器感染症です。母親からの免疫が期待できないため、乳児期早期から百日咳に感染する可能性があります。1歳以下の乳児、特に6か月以下では、死に至る危険性があるとされています。

 これらを予防するため、四種混合ワクチン(DPT-IPV)があります。四種混合ワクチンの標準的な接種スケジュールは、生後3か月になったら1回目を、その後3~8週間間隔で2回接種をします。3回目を終えたら、6か月以上(標準的には12~18か月あけて)、4回目の接種をします。

急性灰白髄炎(ポリオ、小児麻痺)とは

ジフテリア

破傷風

破傷風(動画)

百日咳

四種混合ワクチン

BCGワクチン

 BCGは、結核による重い病気を予防する生ワクチンです。BCGワクチンは定期接種で、標準的には生後5か月から8か月の間に1回接種します。

咳をともなう感染症~結核~

BCGワクチンについて

日本脳炎

 1期は、生後6か月以上7歳6か月未満ですが、標準的な接種年齢は、1期初回が3歳以上4歳未満、1期追加が4歳以上5歳未満とされています。

日本脳炎について

日本脳炎のワクチン

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏


※ 子育て応援団・予防接種お助けツール
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