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新型コロナウイルス感染症の国内発生者数が増え続けています。2020年7月31日の日本国内での新規の陽性報告者数は1,574人で、8月4日までの累積では39,858人となっています。1日あたりの国内の患者発生数が1,500人を超える日も出てきていますが、8月に入って更に患者発生数は増加していくものと予想されています。
3~4月の第一波と今回の第二波とでは、実施されている診断のためのPCR検査や抗原検査の数が大きく異なっているため、単純に報告数のみで感染の規模を比較することは正確ではないと思いますが、全国的に患者発生数は、7月に入って急増してきていることは間違いありません。国内のPCR検査の実施可能件数が向上したために、今回は症状が短期間で軽度な20代、30代の年齢層も多く診断されていて、この年齢群が流行の中心であることが明らかとなりつつあります。この新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザとは異なり、小・中学校や幼稚園、保育施設等の子どもたちの集団生活施設は地域の流行の中心とはならず、様々なところで指摘されつつありますが、いわゆる夜の街とそこに通う成人層(20代、30代が多いですがもちろんそれ以上の年齢層の方々もいます)が地域の流行に大きな役割を果たしていることが明らかとなりつつあります。また、最近発症した方へのインタビューからは、接待を伴わない居酒屋等で感染したと考えられる事例が増えてきています。新型コロナウイルスの感染経路を説明する概念として、新しく飛沫感染の一種である「マイクロ飛沫」がWHO等から提唱されつつあります。
8月は更に患者数が増加し、それにともなって市中感染してしまう可能性も増加してくると思われます。これからしばらくの間、自分以外の人も含めて誰かが大きな声を出したり、歌ったりするような場所への出入りは、可能であれば控えたほうが良いかと思います。
各国の状況
WHOの発表によると、2020年8月4日現在、世界の患者数は約1,814万人、死亡者数は約69万人を数えています。南半球に位置する南米諸国やアフリカ諸国に加え、中東諸国や東南アジアでも患者発生数の増加が見られています。
日本国内の状況
厚生労働省によると8月4日現在、日本国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は39,858例、入院治療等を要する者は11,347名でうち重症者は88名、退院又は療養解除となった者は27,197名、亡くなったのは1,016名となっています。また330名が確認中とされています。都道府県別の数字は、
こちらで確認できます。
症状について
発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。症状の続く長さ(期間)については、風邪やインフルエンザと比べて長いという特徴があるようです。中国のデータによると、患者の8割は軽症で治癒するようです。一方、2割弱の患者では、肺炎の症状が強くなり、入院して酸素投与などの治療が必要になることがあります。重症化する場合は、発症から1週間前後で発熱や呼吸困難などの症状が悪化し、場合によっては人工呼吸器による管理が必要となる例も見られています。特に発症から10日間前後は、病勢が進行していく場合が多いですから、最初は軽症であると思っても、慎重な経過観察が必要です。
新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方と言われています。中国CDCのデータによると、高齢者ほど致死率が高くなることが示されています。こういった方は一般の方よりも早めに、帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。
予防について
コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。原則として空気感染はありません。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。
また、2歳未満のお子さんは、熱中症や窒息の危険があるため、マスクは必要ありません。
感染拡大を避けるために
感染しやすい場所の特徴を理解しましょう。専門家会議によると、これまで集団感染が確認された場所に共通するのは、
(1)換気の悪い密閉空間
(2)多くの人が密集していた
(3)近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた
という3つの条件(3つの密)が同時に重なった場所です。こうした場所ではより多くの人が感染していたと考えられます。これらの3つの条件が同時に揃う場所や場面をできるだけ予測し、避ける行動をとりましょう。また、これら3つの条件がすべて重ならないまでも、1つまたは2つの条件があれば、なにかのきっかけで3つの条件が揃うことがあります。3つの条件ができるだけ同時に重ならないようにすることが対策となります。
国の専門家会議は5月4日、新型コロナウイルスの感染拡大を予防するため、新しい生活様式(生活スタイル)の実践例を公表しました。これを参考に、日々の生活を点検してみましょう。
また、感染者を必要以上に非難・批判したり、差別的に扱うことは、感染状況の調査に悪影響を与えるだけでなく、社会的な息苦しさや不必要な不安を生み出すことになりるため、やめるべきです。(感染状況の変化を踏まえ、6月19日に一部の記載が変更されています。詳しくは
こちら。)
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルス感染症について
■参考リンク:
内閣官房新型コロナウイルス感染症対策業種ごとの感染拡大予防ガイドライン一覧
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏