感染症・予防接種ナビ に寄せられた、閲覧者からの経験談を紹介します。今回は、百日咳です。 四種混合ワクチンなどの定期予防接種がありますが、接種対象年齢に達しない乳児が感染する例があり、その経験談も寄せられています。大人の感染も症状が重く、長引くケースもあるようです。また、感染判明までに時間がかかることもあり、注意が必要です。
百日咳は、世界的にみられる疾患で、あらゆる年齢でかかりますが、小児、特にワクチンを接種していない乳幼児がり患すると、重症化しやすいと言われています。死亡者の多くは、ワクチンを接種していない1歳未満の乳児であり、特にワクチンを接種していない生後6か月未満の乳児では、日本でもいまだに生命にかかわることがあります。
今年は新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、乳児への様々な定期接種率が下がるかまたは遅れ気味になっていると指摘されています。百日咳は、前述したように、日本国内でも普通にり患する感染症であり、定期接種が可能となった時期に速やかに接種しないと、感染し発症してしまう可能性があります。生後3か月になったら速やかに四種混合ワクチンを接種されることを強く推奨します。
百日咳とは
特有のけいれん性の咳発作を特徴とする急性の呼吸器感染症です。母親からの免疫が期待できないため、乳児期早期から百日咳に感染する可能性があります。1歳以下の乳児、特に6か月以下では、死に至る危険性があるとされています。予防接種対象年齢のお子さんは必ず予防接種を受けるようにしましょう。
百日咳の感染経路は、患者の咳によって口から発せられる飛まつによる飛まつ感染や接触感染があります。症状は、普通のかぜのような症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。次第に特徴ある発作性・けいれん性の咳(痙咳)になります。これは短い咳が連続的に起こり、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音がでます。激しい発作は、次第に減衰し、2~3週間で認められなくなりますが、その後も忘れたころに発作性の咳が出ます。全経過約2~3か月で回復します。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続するものの、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。軽症で感冒など、他の疾患との見分けることが困難です。
予防法は、百日咳を対象とする定期予防接種があります。百日咳ワクチンを含むDPT-IPV四種混合ワクチン接種(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)か、DPT三種混合ワクチン接種(ジフテリア、百日咳、破傷風)です。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
<おことわり> 以下で紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。当サイトとして内容を推奨するものではありません。
経験談1 保育園に通うお姉ちゃんから感染か 乳児が感染 母親も陽性
生後、20日過ぎの乳児の例です。母乳の飲み方、咳、呼吸などの異変を感じすぐに医療機関を受診しました。その後、咳が酷く苦しそう、泣かない、母乳をあまり飲まない、チアノーゼ等の状況になり、入院しました。百日咳の検査をしたことや、百日咳では?という“母親の勘"が功を奏したとのことです。保育園に通うお姉ちゃんがが少し前にコホコホと咳をしていたのが原因だったのではと推測されています。
【経験談】
2018年10月1日に産まれました。
元気に過ごしていましたが、最初おかしいと思ったのは10/22の夜中。おっぱい飲むの下手くそになったなって感じたところとこからです。そこから次の日あれ?1時間に1、2回程度なんですが、新生児って咳したっけ?息してる?って少し心配になりながら様子みる。熱は何回も測りましたがなかなか上がらず。夜10時過ぎになって37.7℃。一応病院の夜間に受診するも特に症状無いので帰宅しました。
25日に再診し、レントゲンで気管支炎確認。咳も良くなっていない事から入院で様子見。SPO2モニター90%切ることが多くてピコピコ鳴る鳴る。咳も今思うとだんだん酷くなっていたと思います。咳するとチアノーゼになる感じで。一度咳をすると5分位ずーっとコホンコホンと続き、クループを心配して先生に動画を撮ったものを聴いてもらったんですが、違うって言われました。
週末病院で様子を見ましたが、特に何もせず聴診しても変わらないって事で、2日後再診で帰宅しました。可能性は薄いけど百日咳の検査やっとくねーって言ってくれた検査にとてつもなく感謝です。
家に帰ってやっぱおかしいと感じる。泣かない、動かない、手足冷たい、血色悪い、咳すると苦しそう、チアノーゼ、全身で咳するから疲れておっぱいあんま飲まない。
11/1再診でこの時SPO2が92%、再度レントゲンで無気肺になってる所があるのと百日咳の抗体が高いIgG60で(母体から貰う値より多いって事から)百日咳の確定診断出さずに即入院。ICUで鼻から酸素カニューレ入れて抗生剤点滴。この時ミルク40ccしか飲めてない…。 ネットで百日咳 乳児で調べると全然いい事なんて書いていなくて、(脳症とか死亡とか…)不安すぎて今思い出しても泣けます。
主治医の先生に家族もかかっている可能性があるので検査をという事で、母親、父親と検査しました。結果は母親の私が百日咳陽性でした。何処から貰ってきたのか分かりませんでした。新生児でしたので、私も含め外出はしてなかったし…。2歳上のお姉ちゃんが少し前にコホコホと咳をしてたので、そこからなのかな?と言う感じです。(でも予防接種打っているのに)
ICUに入って1日1回の面会に搾乳したおっぱい持っていく日々が始まりました。抗生剤点滴をしてからの回復はとても早く、今日はカニューレ外して90後半キープ、今日は咳してない、今日はミルク100cc飲んだって毎日驚く程良くなっていました。1週間程入院をして退院する頃には大きな声で泣けるようになってやっと安心できました。
退院の時に早期発見だったのかと聞きましたが、分からないって言われました。百日咳って教科書どおりの咳をしない限り分かりにくいらしいです。だから今回のなんとなくの母親の勘で怪しいと思って病院を受診した事、そして1回目の入院の時に検査をして頂いて本当によかったです。現在7ヶ月になり元気過ごしていますが、風邪にかかると咳が長引いてる気がします。
経験談2 生後1か月の乳児が感染 母親が感染していた?
生後1か月の乳児が感染。鼻水と呼吸が止まるような症状で医療機関へ。即入院するも血圧低下や呼吸の状況が悪く、集中治療室で10日間、人口呼吸管理が必要となったそうです。母親が妊娠中に父親から風邪がうつり、普通の風邪だと思っていたが百日咳だったのかもとの事です。
【経験談】
息子が生後1ヶ月になる日、鼻水がたらーんと垂れ、呼吸が一瞬止まる事に気がつきました。慌てて病院へ。RSウイルスも陽性だった為、入院決定しましたが、血液中の二酸化炭素が多いので挿管して人工呼吸が必要だと言われました。もっと大きな病院へ搬送され、ICUで10日間人工呼吸管理でした。管だらけの我が子…とても見ていられませんでした。そこで初めて百日咳の疑いがあると言われました。家族にも感染者がいるかもしれないと言われ、全員近くの病院で薬をもらって飲みました。思い返せば妊娠中、私自身咳をしていました。夫から風邪をうつされたかなーくらいに思っていましたが、今考えると夫も私も百日咳だったのでは?と思っています。
入院中は、血圧が下がったり、呼吸が止まりそうになったり、医師からはかなり怖いことをたくさん言われましたが、懸命な治療でなんとか持ちこたえました。10日間の人工呼吸の末、3週間の入院で無事に退院出来ました。喘息ではありますが、特に後遺症もなく元気に育ってくれてます。早期診断が大切だと思います。
経験談3 大人が感染 息ができないなど苦しい症状続く 2回目の検査で判明
41歳の方の経験談です。最初は軽い咳の症状で、喉の痛みや発熱、怠さはなかったものの酷い咳が出るようになり、嘔吐や夜も寝られないほどの呼吸困難に。複数の医療機関を受診するもアレルギー性咳嗽(ガイソウ)との診断が2回、百日咳の判明まで2か月かかったようです。
【経験談】
最初は喉の違和感から始まったと思います。そこからコホコホと軽い咳がたまに出る程度で、喉の痛み、発熱、怠さなどの症状はありませんでした。最初の喉の違和感から1週間位して咳が頻繁に出るようになり、かかりつけ医に受診。風邪の所見はなく、アレルギー性咳嗽と診断され、咳止めと吸入ステロイド薬を処方されましたが、数日服用するも咳は治まるどころか酷くなるばかり。夜中に咳込みが激しくなり呼吸困難になったことで救急外来へ。そこでもアレルギー性咳嗽と診断され、強めの咳止めを処方されましたが全く効かず総合病院の耳鼻咽喉科と内科を受診。マイコプラズマ、百日咳の検査を行い、念の為とのことで抗生物質を数日服用。マイコプラズマ陰性、医師の所見から百日咳も可能性が低いとのことで、暫く咳止めとアレルギー薬の服用を続けましたが、2回目の血液検査で百日咳であったことが判明しました。
病名が判明するまで約2ヶ月。とにかく辛かったです。経験したことがない咳込みでした。息ができないのです。頭に血が通わなくなるほどの咳で無呼吸状態が続き、このまま死んでしまうのではないかと毎日度重なる咳が出る度に不安になっていました。ネットで大人は症状が軽いと書かれていますが、そんなことありません!1ヶ月以上酷い咳込みで寝れず、昼夜問わず出る咳で嘔吐が続くのです。2ヶ月経過した今も1日に数回発作的に酷く咳き込みますが、だいぶ落ち着いてきました。幸い周りに感染者を出すことはありませんでしたが、もっと早く診断できないものかと思いました。もう2度と百日咳は患いたくありません。
経験談4 発症から2か月半後に百日咳と判明
45歳の方の経験談です。胃腸の調子が悪くなり、唾を飲むのが痛い、鼻水、酷い咳などの症状が出ていたようです。最初に受診した耳鼻咽喉科で風邪の診断、その後、内科、呼吸器科と受診され、発症から2か月半後、初めての血液検査で百日咳と判明しました。また、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、受診を断られた事もあったそうです。
【経験談】
正月明け、まずは胃腸が悪くなった。その後、唾を飲むのも痛くなり、耳鼻咽喉科を受診。風邪の診断。
喉が治ったら次に鼻水などの症状で再度受診、薬の変更。治ったら次は咳がひどく再度受診し、咳だけが続くため、喘息ありますか?と聞かれ、長引く為に鼻からカメラを入れるも異常なし。耳鼻咽喉科に1ヶ月通院するも、症状が続くため別の内科を受診。そこで、変な咳してるなぁ、百日咳みたいな症状だけど、、と初めてレントゲン。異常なし。とりあえず咳止めなど薬処方。2週間程症状変わらず。咳が悪化。友達が、喘息じゃない?呼吸器科の方がいいよ、と。旦那のかかりつけの呼吸器科に電話するも、コロナのせいか?新規は受付していないと、他をあたってと言われ、別の呼吸器科受診。
肺活量検査レントゲンなどで喘息と診断。薬処方され2か月目になるも、咳がどうしても抜けず、先生も「長いなぁ、百日咳流行ってるから検査しましょう」と2月の受診から初めて血液検査。4月15日、百日咳と判明。現在(投稿時:4月23日)も抗生物質飲んで治療中。しかし、一旦咳こむと、しばらく止まらず現在も苦しい状態。