中国国内において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が続いており、日本国内においても患者数の増加が見られています。新型コロナウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染および接触感染です。主な症状は、発熱・咳・倦怠感です。予防法として最も重要なことは、咳エチケットと手洗いやアルコールなどによる手指衛生を徹底することに変わりありません。難しいかもしれませんが、できるかぎり正確な情報を得る努力をしていただき、過度に心配することなくこれらの基本的な対策をしっかりと行ってください。
感染経路と予防・対策
まず、ウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。咳エチケットは、個人が咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです。原則として空気感染はないので、テレビメディアで映像が頻繁に流れている陰圧室は重要ではありません。
致死率について
2020年2月1日現在では、致死率は、中国全土では2.19%、武漢市5.97%、湖北省(武漢以外)1.45%、湖北省以外の中国全土0.22%となっています。なぜこんなにも致死率に差があるのでしょうか。
報道等でも明らかになっていますが、武漢市とその周辺の地域では、殺到する患者に追われて医療体制が破綻してしまっているといっても過言ではなく、現時点では重症例のみを診断し、治療を行っていると考えられることから、非常に致死率が高くなってしまっているということが言えます。死亡者数はどのような状況であっても、正確性がある程度期待できますから、死亡者数から逆算した湖北省の実際の患者数は、10万人を超えていると推定されます。中国の他地域よりもまだもう少し致死率は低い可能性があります。
感染拡大阻止のため私たちにできることは
厚生労働省は、2020年2月17日に文書「
新型コロナウイルスを防ぐには」を公開しました。手洗いやアルコール消毒といった手指衛生と、咳エチケットが重要で、持病がある人や高齢の人は、できるだけ人混みの多い場所を避けるといった注意喚起がされています。また、発熱等の風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休むよう促しています。厚生労働省のホームページの「
新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を参照していただき、新型コロナウイルスに感染している疑いがある場合は、
帰国者・接触者相談センターに相談して下さい。そのうえで、必要があると認められた場合は、専門の医療機関(帰国者・接触者外来)が紹介されます。
これらのことが大切な理由は、日本国内における新型コロナウイルス感染症の流行を抑制し、たとえ流行が抑えられなくなっても、流行の開始・ピークを少しでも遅らせることによって、医療機関に患者が殺到して地域の医療体制が崩壊したり、重症者に十分な医療が行き届かなくなることによって亡くなってしまう人が増加することを防ぐためです。過度に心配しパニックになることなく、これらの情報を正しく理解し、自身の感染予防と万が一の際の適切な行動につなげることが、いま最も大切です。
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルスを防ぐには(2020年2月17日掲載)
■参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏