中国国内において新型コロナウイルス感染症の流行拡大が続いています。日本国内においても、主に武漢への滞在歴・渡航歴がある人を中心に、患者発生が見られています。現在、様々な情報発信・報道が行われていますが、新型コロナウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染および接触感染です。主な症状は、発熱・咳・倦怠感であり、SARS・MERSでみられていた下痢を伴う消化器症状は比較的少ないといわれています。対策として最も重要なことは、咳エチケットと手洗いやアルコールなどによる手指衛生を徹底することです。難しいかもしれませんが、できるかぎり正確な情報を得る努力をしていただき、過度に心配することなくこれらの基本的な対策をしっかりと行ってください。
コロナウイルスとは
発熱や上気道症状(鼻汁、のどの痛みなど)を引き起こすウイルスで、人に感染を起こすものは6種類あることが分かっています。そのうち2種類は、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)といった、重症化傾向のある疾患の原因ウイルスです。残りの4種類は、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めるとされています。
新型コロナウイルス感染症の感染経路は
新型コロナウイルス感染症の感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。飛沫感染とは、感染した人から咳やくしゃみ、会話などで病原微生物を含んだ飛沫が飛び散り、それを他人が口や鼻から吸い込むなどによって病原微生物が体内に入り込んで感染することです。また接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的な接触によって感染することで、感染した人に直接触れる以外にも、感染した人の咳・くしゃみ・鼻水などが付いた手でドアノブやスイッチ、手すりなどに触れ、その後同じ箇所に別の人が触れることで起きます。
新型コロナウイルスについて、現時点では、空気中に浮遊する病原微生物によって感染する「空気感染」の可能性は、低いと考えられています。
予防法は
飛沫感染と接触感染が主な感染経路である新型コロナウイルス感染症について、対策として最も重要なことは、風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に、咳エチケットや手洗い、うがい、アルコール消毒などを徹底することです。今はインフルエンザの感染リスクも高い時期ですので、インフルエンザ対策をすることが新型コロナウイルス感染症の対策としても有効です。
正しい情報を参考に
SNSなどの匿名情報ではなく、厚生労働省や国立感染症研究所といった公的機関の情報を参考にすることが重要です。難しいかもしれませんが、できるかぎり正確な情報を得る努力をしていただき、過度に心配することなく基本的な対策をしっかりと行ってください。
参考リンク:
厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏