11月に注意してほしい感染症(ノロウイルス感染症、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、インフルエンザ)
2017年10月27日更新
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11月に注意してほしい感染症

No1・ノロウイルス感染症
例年11月中に西日本を中心に患者報告数が急増していることが多く、11月は注意が必要です。

No2・RSウイルス感染症
先月から、既に本格的な流行期に入っています。今後も引き続き、注意が必要です。

No3・溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)
例年、12月まで患者報告数が増え続けます。今後注意をしましょう。

No4・インフルエンザ
例年11月から患者数増加がみられることが多く、今後の動向に注意しましょう。

では、これらの感染症を詳しく見ていきましょう。

ノロウイルス感染症

 例年11月中に西日本を中心に患者報告数が急増していることが多く、11月は注意が必要です。

 ノロウイルス感染症とは、病原体に汚染された食品などから感染する「経口感染」などで広がる感染症です。流行のピークは12月で、1~2日の潜伏期間を経て、吐き気、おう吐、下痢などの症状が出ます。症状は数時間から数日で治まり、よほどのことがない限り重症化することはありません。しかしノロウイルス感染症には、予防接種のワクチンも抗ウイルス薬も実用化しているものがありません。ウイルスが感染して発症してしまうと、整腸剤などの対症療法しかないのが現状です。

 また、ノロウイルス感染症の意外な感染源が、舞い上がったホコリです。おう吐物や下痢便に対して適切な処理をしない場合、その場所に残存しているノロウイルスがホコリとともに舞い上がって、その日だけでなく、数日を経ても、その場所を歩いただけの人がそのノロウイルスを吸い込んで感染してしまうことがあります。ノロウイルスに関係していると考えられるおう吐物や下痢便を発見した場合には、しっかりとペーパータオル等で拭き取り、取り除いたあとの場所を塩素系の消毒剤でしっかりと消毒することが大切です。

ノロウイルス感染症

RSウイルス感染症

 先月から、既に本格的な流行期に入っています。今後も引き続き、注意が必要です。

 RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。

 特に気をつけなければならないのが、生後数週間から数か月の赤ちゃんがRSウイルスに感染することです。感染すると、気管支炎、肺炎などを起こすことがあり、1~3%が重症化すると言われています。RSウイルス感染症の感染経路はインフルエンザと同様、「飛沫感染」や「接触感染」です。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。予防法は、手洗い、咳エチケットなどが、有効です。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。

RSウイルス感染症

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)

 例年、12月まで患者報告数が増え続けます。今後注意をしましょう。

 溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が出ることは少ないです。感染症発生動向調査によると、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。溶連菌感染症は基本的には通年性です。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしばおう吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。一部の人には発疹が出ます。発疹が出て体が真っ赤になることがあります。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「しょう紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。

 溶連菌感染症は、発症者の咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」によってうつります。

 予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

溶連菌感染症

インフルエンザ

 例年11月から患者数増加がみられることが多く、今後の動向に注意しましょう。

 インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による「飛沫感染」が主な感染経路です。他に「接触感染」もあるといわれています。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。予防接種を受けてから抗体ができるまで約2週間かかり、効果は5か月間持続します。

インフルエンザ


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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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