RSウイルス感染症は例年より1か月以上早く本格的な流行となっていますが、報告数は急激な増加が続いています。
第35週(8/28~9/3)の小児科定点からの報告数は1万人を上回り、2004年にRSウイルス感染症の発生動向数の調査が始まって以来の最多報告数を更新しました。
今後も本格的な流行の状態が11月~12月まで継続するものと予想されます。
RSウイルス感染症の流行状況には今後も注視していく必要があります。
RSウイルス感染症は乳幼児期においては重症化し、入院を要することも珍しくありません。
また、生後1か月に満たない新生児期においても感染発病する可能性があり、その場合は無呼吸をきたす可能性があります。
特に、小さなお子様が居るご家庭ではRSウイルス感染症の流行時期は厳重な警戒が必要です。
RSウイルス感染症は感染力が強く、感染しても症状が軽度である年長児や大人からの濃厚接触で乳児に感染することがあります。
流行期間中に軽い上気道炎があり、感染している可能性がある方が乳児に接触する場合は、手洗いやマスクの装着などで乳児に感染させないように気をつけてください。
地域別情報
2017年第35週(8/28~9/3)の速報データによると、全国での報告数は10189件(前週:6601件)となっており、前週比54.35%の増加となっています。報告数が最も多いのは東京都(820件)、次いで大阪府(782件)、福岡県(635件)、埼玉県(505件)、神奈川県(467件)となっています。
症状
潜伏期間は2~8日、典型的には4~6日とされています。発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染の小児の20~30%では、その後、下気道症状があらわれると言われています。感染が下気道、とくに細気管支に及んだ場合には特徴的な病型である細気管支炎となります。
細気管支炎は、炎症性浮腫と分泌物、脱落上皮により細気管支が狭くなるに従って、呼気性喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などがあらわれます。痰(たん)の貯留により無気肺を起こすことも珍しくありません。心肺に基礎疾患を有する小児では、しばしば遷延化・重症化します。
発熱は、初期症状として普通に見られますが、呼吸状態の悪化により入院が必要となったときには、体温は38℃以下や平熱となっている場合が多いです。
速やかにかかりつけ医へ行く症状
・息がゼイゼイと呼吸が苦しそうになる
・咳で何回も夜中に起きる
・熱が下がっても症状が改善されない
・咳込んで嘔吐してしまう
RSウイルス感染症について詳しく見る▼
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏