今シーズンのインフルエンザ流行の立ち上がりは2014~15年シーズンに次ぐ水準となっていますが、冬期休暇によって今後2週間の患者数は横ばいかもしくは漸減し、1月の第2週以降に本格的な流行となっていくと予想されます。今後ともインフルエンザの患者発生の推移には注意が必要です。
流行のようす
薬局サーベイランスによると、2016年第51週(12月19日~12月25日)の推定患者数は331,041人で、前週(第50週)の推定値(192,913人)よりも10万人以上増加しました。第33週以降19週間連続して増加が続いていて、薬局サーベイランス開始(2009年)以降の、季節性インフルエンザの同時期の動向としては2014~15年シーズンに次ぐ値となっています。
一方、第52週の月曜日(12月26日)の推定患者数は88,130人と、前週月曜日の値67,060人よりも更に増加していますが、インフルエンザの罹患率が高く、流行の中心である年齢層の大半が通う学校・幼稚園は冬季休業に入っているため、今後2週間(2016年第52週~2017年第1週)の患者数は横ばいかもしくは減少する可能性があります。
都道府県別情報
人口1万人当たりの1週間の推定受診者数は、福井県、北海道、栃木県、富山県、秋田県、岐阜県、奈良県、群馬県、東京都、埼玉県、広島県、神奈川県、兵庫県、香川県の順となっています。岩手県、山梨県を除いた45都道府県で前週よりも増加が見られており、特に関東地方では大半の地域が全国平均値を上回っています。
年齢別情報
今シーズン累積の推定患者数は997,594人で、日本の人口推計値(2016年11月1日現在、1億2695万人)で換算すると、累積の罹患率は0.79%となります。
年齢群別では10~14歳(2.66%)、5~9歳(2.49%)、15~19歳(1.62%)、0~4歳(1.42%)、20~29歳(0.80%)、30~39歳(0.76%)、40~49歳(0.68%)、50~59歳(0.56%)の順となっていて、特に5~14歳の年齢群がインフルエンザ流行の中心となっています。
ウイルスの型
国立感染症研究所によると、今シーズンこれまでのインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルスは、A/H3(A香港)亜型が86.7%と大半を占めており、次いでA/H1pdm 11.3%、B型2.0%の順となっています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/12/27