マイコプラズマ肺炎は2012年以来の4年ぶりの流行となっています。
報告数は9月下旬以降、さらに急増しており、過去10年の同時期と比較し最多となっています。報告数は今後さらに増えることも考えられます。
地域別情報
2016年第40週(10/3~10/9)の速報データによると、定点当たり報告数が最も多いのは岐阜県、次いで群馬県、北海道、福岡県、兵庫県となっています。
潜伏期間
2~3週間とインフルエンザやRSウイルス感染症等の他の小児を中心に大きく流行する呼吸器疾患と比べて長いです。
症状
初期症状は発熱、全身倦怠、頭痛などです。特徴的な症状は咳。初発症状発現後3~5日から始まることが多く、乾いた咳が経過に従って徐々に増強し、解熱後も長期にわたって(3~4週間)持続します。
治療
抗菌薬投与による原因療法が基本ですが、マイコプラズマ肺炎の病原体である「肺炎マイコプラズマ」は細胞壁を持たないために、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリン系やセファロスポリン系の抗生物質には感受性はありません。
蛋白合成阻害薬であるマクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)が第1選択薬とされてきましたが、以前よりマクロライド系抗菌薬に耐性を有する耐性株が存在することが明らかとなっています。近年その耐性株の割合が増加しつつあるとの指摘もあります。
最初に処方された薬を服用しても症状に改善がみられない場合は、もう一度医療機関を受診していただくことをお勧めします。
マイコプラズマ肺炎について詳しく見る▼
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/10/20