おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、両方またはどちらかの耳下腺の腫れを特徴とするウイルス感染症で、3~6歳の小児を中心に発症します。
今年は2011年以来の流行年であり、現在がそのピークであると思われます。保育園、幼稚園、小学校などの小児の集団生活の施設ではおたふくかぜの集団発生がみられています。
予防はワクチンの接種しかありません。お子さんがまだかかっていない場合はワクチンの接種をしましょう。
地域別情報
2016年第25週(6/20~6/26)の速報データによると、定点当たり報告数が最も多いのは宮崎県、次いで佐賀県、山形県、鹿児島県、和歌山県となっています。
感染経路
接触、あるいは飛沫感染で伝搬します。その感染力は、かなり強いものです。ただし、感染しても症状が現れない不顕性感染もかなりみられ、30~35%とされています。
症状
2~3週間の潜伏期(平均18日前後)の後、両方またはどちらかの耳下腺が腫れます。
主な症状は唾液腺(耳の下にある耳下腺のほか、舌の下にある舌下腺、顎の下にある顎下腺)の腫れ、圧迫した際の痛み、物を飲み込む際の痛みや発熱で、通常48時間以内に症状のピークがあり、1~2週間で症状が軽くなります。
治療・予防
流行性耳下腺炎とその合併症の治療は、基本的に対症療法です。発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努めます。脱水などがみられる症例では輸液の適応となります。
おたふくかぜに有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状では、集団生活に入る前にワクチンで予防しておくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法です。
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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/07/07