ウイルスや細菌に感染するまでに、さまざまな感染経路があります。
代表的な感染経路は、「飛沫感染」「経口感染」「接触感染」「空気感染」です。
今回は、感染経路別にいま注意してほしい感染症の予防法を紹介します。
飛沫感染
咳やくしゃみなどに含まれる病原微生物によって感染します。
・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は今年流行の可能性がありますが、効果的に予防するにはワクチン接種が唯一の方法になります。接種後は概ね90%前後が有効なレベルの抗体価を得るといわれています。
・溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)は幼児、学童期にかかりやすく、現在実用化されているワクチンはありません。感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒をしましょう。
経口感染
病原体に汚染された食品などによって感染します。
ノロウイルス感染症が代表的な感染症です。
最も重要で、効果的な予防方法は「流水・石けんによる手洗い」です。
接触感染
皮膚や粘膜の直接的な接触によって感染します。
・ロタウイルス感染症は4~5歳までにほとんどの子どもが感染します。ロタウイルスは罹患児の糞便中に大量に含まれ、罹患児の隔離、感染源である糞便やおむつの適切な処理、衛生的手洗い(特に、母親と医療従事者)、汚染された衣服の次亜塩素酸消毒などが徹底される必要があります。ワクチンによる予防法があります。
・咽頭結膜熱はこれから患者数が増加してくると思われ、対策として最も重要なことは手指衛生で、流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。よく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。
空気感染
空気中に浮遊する病原微生物によって感染します。
麻しん(はしか)、水痘(みずぼうそう)、結核などが代表的な感染症で、ワクチンによる予防ができます。
(※いずれも他の感染経路で感染する場合があります。)
感染経路別の代表的な感染症について詳しく見る▼
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2016/4/15