【感染症ニュース】過去に感染・ワクチン接種でも油断は禁物! 新型コロナウイルスの流行株XBB.系統「身の回りの感染対策心がけて」
2023年7月6日更新
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夏は感染が拡大?
夏は感染が拡大?
 厚生労働省が6月30日に発表した令和5年第25週(6/19〜25)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は6.13。前週よりも約0.5ポイント増加しています。5月8日から感染症法上の位置付けが5類感染症になり、発生動向の発表方法が変わりましたが、変更後初めて定点当たり報告数が発表された第19週(5/8〜14)以来、6週連続して増加しています。特に沖縄では、第25週の定点当たり報告数は39.48。前週から10ポイント以上増加。第8波のピークを上回りました。

感染症に詳しい医師は・・・

 感染症に詳しい、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「現在流行しているのはXBB.系統の変異株がほとんどと言われています。この変異株の特徴は、感染やワクチンによって免疫を獲得していても、それをすり抜けて感染する能力が高いということです。沖縄県は、第8波のときも、多くの患者報告がありましたが、第25週の報告では、それを上回っています。以前に新型コロナウイルス感染症に感染したことがあっても、またワクチンを接種していても感染する可能性があるということが、感染拡大の一因になっているのではないかとみています」と語っています。

梅雨明けには大流行に?

 安井医師は、梅雨明けの大流行を予測しています。

 「梅雨があけると、気温が高く、湿気が少なくなり、新型コロナウイルスが広がりやすい環境になります。また、冷房を入れると換気の回数が少なくなり、感染の機会が増えます。加えて5類感染症になったことで行動制限がなくなり、マスクの着用率も減少しています。感染拡大のための要因が揃っており、ますます新型コロナの感染者が増えていくのではないかと予測しています」

新型コロナウイルスはどのように感染?

 新型コロナウイルスは、感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話などのときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分、または混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

 また、ウイルスが付いたものに触ったあと、手を洗わずに、目や鼻、口を触ることにより感染することもあります。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

夏の感染対策のポイント

 感染対策としては従来どおり、「換気」「手洗い・手指消毒」が有効です。冷房を入れていても換気を心がけ、換気扇も活用してください。ウイルスは手から目や鼻、口に入ることがあるので、流水や石けんによる手洗い、アルコール製剤などでの手指消毒が有効です。また、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば、重症化リスクが高まります。夏休みやお盆で帰省するなど高齢の方と会う場合や、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。医療機関や高齢者施設を訪問するときには、うつさないためにもマスクの着用が効果的です。

沖縄県の流行状況について

 安井医師は、「新型コロナは、沖縄県が突出して流行しています。沖縄県は、これまでも罹患割合の高い地域だったにも関わらず、これだけ流行が広がっています。他の地域でも、同様の流行をみせてもおかしくはありません。現在、主流のXBB系統は、免疫回避能力が高いとされています。今後、医療がひっ迫する可能性もじゅうぶん考えられます。医療関係者は、注意と覚悟が必要でしょう。また、新型コロナは後遺症のおそれもあり、決して軽く見てはいけない感染症です。これから夏に向けて、改めて身の回りの感染対策を心がけていただきたいと思います」としています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について(2023年6月30日)、新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)、夏の感染対策のポイント
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報速報データ2023年第25週(6/19~25)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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