「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症
2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。
トピックス
感染症ニュース
【感染症ニュース】ぜんそくや気管支炎を発症するケースも見られるRSウイルス感染症 乳幼児期は特に気をつけてください
3月に注意してほしい感染症としてRSウイルス感染症についてご紹介します。
現在、関西や九州を中心に感染者の増加がみられています。
ここ2年ほど大きな流行が・・・
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3月に注意してほしい感染症としてRSウイルス感染症についてご紹介します。
現在、関西や九州を中心に感染者の増加がみられています。
ここ2年ほど大きな流行が見られなかったため、初めて感染するお子さんも多いかと思います。
特に、免疫を持っていない赤ちゃんは症状が重い場合もあり、個人差はあるもののRSウイルス感染症をきっかけに、ぜんそくや気管支炎を発症するケースも見られます。赤ちゃんを持つご家族は特に注意が必要です。
概要
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによって発生する呼吸器感染症です。年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を繰り返し、発症の中心は0歳児と1歳児で、2歳までにほぼ100%の小児がRSウイルスの初感染を受けるとされています。
乳幼児期においては非常に重要な疾患であり、特に生後数週間〜数か月間の時期においては母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こします。
症状
潜伏期間は2〜8日、典型的には4〜6日とされています。発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染の小児の20〜30%では、その後、下気道症状があらわれると言われています。感染が下気道、とくに細気管支に及んだ場合には特徴的な病型である細気管支炎となります。乳幼児における肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めるとの報告もあります。
また、低出生体重児や心肺系に基礎疾患や免疫不全が存在する場合は重症化のリスクが高いです。
発熱は、初期症状として普通に見られますが、呼吸状態の悪化により入院が必要となったときには、体温は38℃以下や平熱となっている場合が多いです。
感染経路
RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込む飛沫感染や、感染している人との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる、間接的な接触感染で感染します。
なお、RSウイルスが麻疹や水痘、結核のように空気感染(飛沫核感染)するといった報告はありません。
予防方法
RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。
予防法としては、手洗い、うがい、咳エチケットなどが、有効です。咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用して子どもに接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すり等はこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生の徹底が重要です。
感染症予防接種ナビでは、RSウイルス感染症の経験談を募集しています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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動画で解説
感染症から身を守るために、今できること!
注意してほしい感染症
2021年3月期
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
過去5年間の同時期との比較
インフルエンザ
|
咽頭結膜熱
|
溶連菌感染症
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感染性胃腸炎
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水痘
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手足口病
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伝染性紅斑
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突発性発しん
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百日咳
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ヘルパンギーナ
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流行性耳下腺炎
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急性出血性結膜炎
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流行性角結膜炎
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マイコプラズマ肺炎
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かなり多い
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やや多い
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平均水準
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やや少ない
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かなり少ない
|
情報元:IDWR 2021年第7週
2021年2月15日〜2021年2月21日
流行のようす
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
全国的に新規感染者の減少は続いているものの、特に都市部では減少スピードの遅れが懸念されています。新型コロナワクチンが承認され、接種が開始されましたが、集団免疫の効果がみられるまでには、まだしばらく時間がかかると思われます。
感染者が減少傾向にある地域においても、感染の再拡大を防ぐため引き続き徹底した感染予防対策が必要です。これから年度末に向け、人が集まる行事等が増えるシーズンを迎えますが、大人数での会食等はしばらくは控えるべきです。そして、飛沫による感染を防止するため、引き続きマスクを着用しましょう。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
RSウイルス感染症
※報告数
北海道 0 |
青森 1 |
岩手 59 |
宮城 7 |
秋田 0 |
山形 0 |
福島 7 |
茨城 0 |
栃木 8 |
群馬 0 |
埼玉 1 |
千葉 0 |
東京 16 |
神奈川 1 |
新潟 0 |
富山 0 |
石川 0 |
福井 0 |
山梨 0 |
長野 0 |
岐阜 0 |
静岡 8 |
愛知 23 |
三重 0 |
滋賀 0 |
京都 4 |
大阪 130 |
兵庫 55 |
奈良 2 |
和歌山 0 |
鳥取 0 |
島根 1 |
岡山 1 |
広島 6 |
山口 3 |
徳島 0 |
香川 0 |
愛媛 1 |
高知 0 |
福岡 291 |
佐賀 24 |
長崎 128 |
熊本 80 |
大分 0 |
宮崎 104 |
鹿児島 63 |
沖縄 11 |
九州や大阪など西日本を中心に、感染の増加傾向がみられています。今後の感染者の推移に注意してください。
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによって発生する呼吸器感染症です。感染力が強く、発症の中心は0歳児と1歳児で、2歳までにほぼ100%の小児が初感染を受けるとされています。また生涯にわたって何度も顕性感染を繰り返すといわれています。
感染すると、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染した小児の20〜30%にその後、下気道症状があらわれると言われています。乳幼児期においては特に注意が必要な疾患であり、生後数週間〜数か月間の時期においては母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こします。
感染経路は飛沫感染と接触感染です。咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用して子どもたちに接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すり等をこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗い又はアルコール製剤による手指の衛生を徹底してください。
情報元:IDWR2021年第7週(2021年2月15日〜2021年2月21日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は学童期の小児に最も多く、学校などの集団生活で気をつけてほしい感染症です。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) に感染すると、2日から5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナウイルス感染症の症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。
主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。
ワクチンは、まだ実用化されていません。感染の予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2021年第7週(2021年2月15日〜2021年2月21日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
ロタウイルス感染症
ロタウイルス感染症は、年齢にかかわらず何度でも感染しますが、症状は初感染時が最も重症で、その後感染を繰り返すにつれて軽症化し、不顕性感染(感染しても症状が出ないこと)も多くみられます。顕性発症は5歳未満の乳幼児に多くみられます。近年の日本での流行のピークは3月〜5月です。
主な症状として、嘔吐と下痢、発熱があげられます。典型例では病初期に嘔吐と発熱がみられ、続いて下痢が始まります。嘔吐は特徴的症状で、突然起こり、これを契機に医療機関を受診するケースが多く見られます。下痢は水様性から泥状です。患児の半数近くにみられる白色〜黄白色便は特徴的ですが、同様の色調はノロウイルス感染症についてもみられるため、注意が必要です。発熱の持続は2日を超えることは少なく、多くが半日〜1日です。
ロタウイルス感染症には有効的な治療法がありません。対症療法が中心となり、嘔吐や下痢に伴う脱水や電解質異常に対して、経口または経静脈的に補液が行われます。
現時点で有効な予防法はなく、4〜5歳までにほとんどの子どもが感染します。間接接触による感染が多いことから、罹患児の隔離、感染源である糞便やおむつの適切な処理、衛生的な手洗い(特に母親と医療従事者)、汚染された衣服の次亜塩素酸消毒などを徹底する必要があります。
情報元:日本学校保健会
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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※2021年2月 月間アクセス
インフルエンザ情報
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
2/22〜2/28(2021年第8週)のインフルエン
ザの推定患者数は約440人と、前週(約580人)より
減少しました。3月に入りましたが、例年の同時期の患者
数よりも極めて少ない状態が続いています。今シーズンは
インフルエンザの流行が開始し・・・
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2/22〜2/28(2021年第8週)のインフルエン
ザの推定患者数は約440人と、前週(約580人)より
減少しました。3月に入りましたが、例年の同時期の患者
数よりも極めて少ない状態が続いています。今シーズンは
インフルエンザの流行が開始しないまま推移していく可能
性が高いと思われますが、今しばらくは発生動向について
注意が必要です。(更新:3/3)
(監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染
症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏)
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