新型コロナウイルス感染症
2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。
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【シリーズ新型コロナ後遺症】コロナ後頭痛の高校生が脳梗塞? 咳・痰・頭痛・倦怠感など 臨床医が症状別治療法を解説I【第五回】
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)。
未だ原因が不明な点も多くあり、世界的に調査研究が進められています。
症状の多くは、時間の経過と・・・
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新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)。
未だ原因が不明な点も多くあり、世界的に調査研究が進められています。
症状の多くは、時間の経過とともに改善することが多くある一方で、一部の方に長引く症状があることも分かってきました。
シリーズ第5回となる今回からは、広島市立広島市民病院の松村俊二・総合診療科部長に、これまでのお話しして頂いた症状の現状での治療法、お話に出なかった症状などについて解説していただきます。
咳・痰 漢方薬の効果があるケースも
感染症による炎症で細い気管支がふさがったり組織が固くなったりすることで、咳が長引くことがあります。コンコンという乾いた咳もあれば、ゼーゼーというアレルギー性の咳もあります。
治療としては一般的な咳止めや去痰薬、喘息などに用いる吸入薬が有効です。抗不安作用を持つ半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など漢方薬の併用も効果がある場合があります。子供さんは服用量を量を大人の4分の1から2分の1に減らしてください。
また、レントゲンやCT検査などで異常が見られない場合には、精神・心理的要因が原因かもしれません。
倦怠感、筋肉痛・関節痛 十分な休息を
第2回でもお話ししましたが、一番効果的なのは十分な休息を取ることです。無理して職場復帰すると余計に悪化して起き上がれなくなることもあります。職場などと相談して休職し、体調を見ながら徐々に復帰することを勧めます。薬物治療をするなら、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬を使います。
筋肉痛などには鎮痛剤を服用し、抑うつ状態が見られる場合には、精神科に相談して抗うつ薬を処方することもあります。
また、感染でホルモンの分泌が少なくなると、うつ症状や倦怠感、筋力低下など、更年期障害と同じ症状が出ます。この場合は亜鉛製剤や補中益気湯などの漢方薬を使います。症状が強い場合は、泌尿器科や婦人科と相談して、ホルモン補充療法を行うこともあります。
頭痛 長引く場合は検査を
当院に「コロナは治ったのに頭痛が収まらず、学校に行けない」という高校生の患者さんが来られました。CT検査の結果、脳梗塞を起こしていることが分かり「まさか、こんな若い人が」とびっくりしました。コロナにかかってから6ヵ月以内は、脳梗塞や脳出血を発症することがありますので、頭痛が長引く場合は若い方でも油断せず、検査を受けるようにしてください。
まとめ
コロナ後遺症は、感染と後遺症の因果関係が不明な場合も多くあります。
一方、診察にあたる松村医師は、診察での経験から、体調不良が治まらない方へ医療機関で検査を行うよう呼び掛けています。
自治体によっては、コロナ後遺症についての相談窓口を設けている所もあります。
体調に不安を感じている方は、行政機関やかかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。
「感染症・予防接種ナビ」では、医師との研究活動の一環として、コロナ後遺症の経験談を募集しています。
また、コロナ後遺症について詳しく知りたい方は、広島県医師会が2022年9月に発行した「救急小冊子 知っておきたい新型コロナウイルス感染症の後遺症」をご覧下さい。
取材:広島市立広島市民病院 松村俊二総合診療科部長
参照:救急小冊子 知っておきたい新型コロナウイルス感染症の後遺症(広島県医師会)
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動画で解説
ワクチンで感染症から身を守ろう!
注意してほしい感染症
2023年1月期
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
過去5年間の同時期との比較
インフルエンザ
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咽頭結膜熱
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溶連菌感染症
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感染性胃腸炎
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水痘
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手足口病
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伝染性紅斑
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突発性発しん
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百日咳
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ヘルパンギーナ
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流行性耳下腺炎
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急性出血性結膜炎
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流行性角結膜炎
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マイコプラズマ肺炎
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かなり多い
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やや多い
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平均水準
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やや少ない
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かなり少ない
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情報元:IDWR 2023年第2週
2023年1月9日〜2023年1月15日
流行のようす
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
落ち着きをみせている地域もありますが、流行は続いています。今後、オミクロン株の亜系統であるBQ.1への置き換わりが流行状況に影響を及ぼすことが考えられます。
一般に冬は、ウイルスの活動が活発になる時期であることからも、注意が必要です。
また、学校などでの集団感染が発生し、子どもから家庭内にウイルスが持ち込まれるケースも、引き続き増えると危惧しています。
学校でできる感染対策として、マスク着用や手洗いの励行に加え、教室内ではこまめな換気を行ってください。何より重要なのが、多くの方がワクチンを接種することです。
国内でも、オミクロン株対応ワクチンの接種が始まっています。
しかし、ワクチンを接種していても、感染しないわけではなく、周囲にうつさないわけでもありません。ワクチンを接種した後も決して安心しないでください。
ワクチン接種に加え、感染対策を徹底することで、ようやくウイルスに立ち向かえるのです。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
インフルエンザ(季節性)
各地で、インフルエンザに伴う学級・学校閉鎖が散見されます。
インフルエンザは集団生活の場で広がる可能性があり、冬にかけて感染動向に注意が必要です。
インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。
ここ2シーズンほど、インフルエンザの流行がみられず、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすいことから、予防接種を受けることで発病率、重症化の低減につながると言われています。
予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は約5か月間持続しますので、流行前に早めに接種することを、おすすめします。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
ノロウイルス感染症
感染性胃腸炎の一つである、ノロウイルス感染症は保育所や幼稚園、小学校などの集団生活で多くみられる感染症です。
ノロウイルスに感染すると、多い時には10回以上のおう吐や下痢の症状が続きます。そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれ、わずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。ノロウイルス感染症は有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対症療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。
ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて行いましょう。使用する濃度は500ppm以上が推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。
情報元:日本学校保健会
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
RSウイルス感染症
※報告数
北海道 45 |
青森 11 |
岩手 5 |
宮城 9 |
秋田 5 |
山形 7 |
福島 38 |
茨城 5 |
栃木 8 |
群馬 7 |
埼玉 9 |
千葉 6 |
東京 21 |
神奈川 13 |
新潟 20 |
富山 9 |
石川 5 |
福井 5 |
山梨 10 |
長野 20 |
岐阜 4 |
静岡 15 |
愛知 13 |
三重 0 |
滋賀 2 |
京都 4 |
大阪 30 |
兵庫 21 |
奈良 1 |
和歌山 12 |
鳥取 1 |
島根 0 |
岡山 20 |
広島 26 |
山口 4 |
徳島 3 |
香川 7 |
愛媛 7 |
高知 11 |
福岡 24 |
佐賀 16 |
長崎 21 |
熊本 32 |
大分 0 |
宮崎 8 |
鹿児島 15 |
沖縄 6 |
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2〜8日、一般的には4〜6日で発症します。
特徴的な症状である熱や咳は、新型コロナウイルス感染症と似ており、見分けがつきにくいです。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。
RSウイルス感染症は乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。
お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。
感染経路は、飛沫感染や接触感染です。ワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。
家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
情報元:IDWR2023年第2週(2023年1月9日〜2023年1月15日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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※2022年12月 月間アクセス
インフルエンザ情報
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
インフルエンザ患者の報告増加に伴い、全国各地で注意報
や警報が発表されています。2023年1月20日に厚生
労働省が発表した「インフルエンザに関する報道発表資料
令和5年第2週」によると、2023年第2週(1/9〜
1/15)のインフルエンザ定・・・
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インフルエンザ患者の報告増加に伴い、全国各地で注意報
や警報が発表されています。2023年1月20日に厚生
労働省が発表した「インフルエンザに関する報道発表資料
令和5年第2週」によると、2023年第2週(1/9〜
1/15)のインフルエンザ定点あたりの報告数は全国で
7.37と前週(1/2〜1/8)の4.73から増加し
ています。沖縄県では1定点医療機関あたりの患者報告数
は33.23となり、警報基準の30人を超えました。
沖縄県は、2023年1月19日に、今シーズン全国初の
インフルエンザ警報を出しています。その他、福岡・佐賀
宮崎・長崎・鹿児島や大阪で注意報レベルとなっています
また、定点辺りの報告数は、東京やその周辺の関東でも増
えています。感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の
安井良則医師は「インフルエンザは今後どこまで増えるか
は予測がつきませんが、感染者の数は更に増え、警報基準
に達する可能性もじゅうぶんにあります。 九州・沖縄や
東京・大阪といった大都市とその周辺でも報告数は増えて
います。2月上旬辺りまで警戒が必要です」としています
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