※このページは、厚生労働省ウェブサイト「インフルエンザQ&A」を転載しているものです。

Q.18: ワクチンは1回接種でよいでしょうか?

  • [1]13歳以上の方は、1回接種を原則としています(注1)。ワクチンの添付文書には「13歳以上のものは1回または2回注射」と記載されていますが、健康な成人の方や基礎疾患(慢性疾患)のある方を対象に行われた研究から、インフルエンザワクチン0.5mLの1回接種で、2回接種と同等の抗体価(注2)の上昇が得られるとの報告があります※1、2。ただし、医学的な理由により(注1)、医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません。なお、定期の予防接種(注3)は1回接種としています。

  • [2]13歳未満の方は、2回接種です。1回接種後よりも2回接種後の方がより高い抗体価の上昇が得られることから、日本ではインフルエンザワクチンの接種量及び接種回数は次のとおりとなっています。なお、1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行っていただいて差し支えありません。

    (1)6カ月以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種(注4)
    (2)3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL 2回接種

  • [3]諸外国の状況について、世界保健機関(WHO)においては、ワクチン(不活化ワクチンに限る。)の用法において、9歳以上の小児及び健康成人に対しては「1回注射」が適切である旨、見解を示しています。また、米国予防接種諮問委員会(US-ACIP)も、9歳以上(「月齢6ヶ月から8歳の小児」以外)の者は「1回注射」とする旨を示しています。

  • (注1)13歳以上の基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方等は、医師の判断で2回接種となる場合があります。
    (注2)抗体価とは、抗原と反応できる抗体の量であり、ウイルス感染やワクチン接種により体内で産生された抗体の量を測定することで得られる値のことです。
    (注3)インフルエンザワクチンの定期接種の対象者については、Q28をご参照下さい。
    (注4)[2](1)について、一部のワクチンは、「1歳以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種」となります。

    ※1 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金 新興インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「予防接種に関するワクチンの有効性・安全性等についての分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(大阪市立大学))」
    ※2 平成28年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(保健医療経営大学))」

    Q.19: ワクチンの効果、有効性について教えてください。

     インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から体の中に入ってくることから始まります。体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはありません。

     ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」といいます。インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。

     国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています※1。

     「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています※2。「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が60%」とは、下記の状況が相当します。

    ・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
    ・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
    → ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%

     ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病率(リスク)が、「相対的に」60%減少しています。すなわち、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%(上記の例では30人のうち18人)は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということになります。

     現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

    ※1 平成11年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」
    ※2 平成28年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(保健医療経営大学))」

    Q.20: 昨年ワクチンの接種を受けましたが今年も受けた方がよいでしょうか?

     インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行することが予測されると判断されたウイルスを用いて製造されています。このため、昨年インフルエンザワクチンの接種を受けた方であっても、今年のインフルエンザワクチンの接種を検討して頂く方が良い、と考えられます。

    Q.21: 乳幼児におけるインフルエンザワクチンの有効性について教えて下さい。

     現在国内で用いられている不活化のインフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発病を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。

     乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20〜60%の発病防止効果があったと報告されています※1、2。また、乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告も散見されます。(参考:Katayose et al. Vaccine. 2011 Feb 17;29(9):1844-9)

     しかし、乳幼児をインフルエンザウイルスの感染から守るためには、ワクチン接種に加え、御家族や周囲の大人たちが手洗いや咳エチケットを徹底することや、流行時期は人が多く集まる場所に行かないようにすることなどで、乳幼児がインフルエンザウイルスへ曝露される機会を出来るだけ減らす工夫も大切です。

    ※1 平成14年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究(研究代表者:神谷 齊(国立病院機構三重病院)・加地正郎(久留米大学))」
    ※2 平成28年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD (vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(保健医療経営大学))

    Q.22: インフルエンザワクチンの有効性が、製造の過程で低下することはあるのでしょうか?

     インフルエンザワクチンは発育鶏卵を用いて製造されますが、ウイルスを発育鶏卵の中で増えやすくするためには馴化(じゅんか)させなければなりません。馴化とは、ウイルスを発育鶏卵で複数回増やし、発育鶏卵での増殖に適応させることです。このような馴化の過程で、ウイルスの遺伝子に変異が起きる場合があります。

     遺伝子に変異が起きた場合、実際に流行しているインフルエンザウイルス(流行株)と、ワクチンのもとになっているインフルエンザウイルス(ワクチン株)とで、免疫への作用の程度に違い(抗原性の乖離)が認められる場合があります。しかしながら、そのような場合であっても、ヒトでは一定程度の有効性が保たれることが、疫学的な研究により明らかとなっています。この理由として、ヒトは、インフルエンザウイルスの研究に用いられている実験動物とは異なり、毎年の流行に曝露されることで一定の抗体を有しているためと考えられています。

    Q.23: 「4価ワクチン」とはどのようなものですか?

     現在国内で広く用いられているインフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスA型株(H1N1株とH3N2株の2種類)及びB型株(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造されているため、「4価ワクチン」と呼ばれています。

    Q.24: インフルエンザワクチンの接種はいつ頃受けるのがよいですか?

     日本では、インフルエンザは例年12月〜4月頃に流行し、例年1月末〜3月上旬に流行のピークを迎えますので、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。なお、今年度については、昨年度以前と比較してH3N2亜型株の製造開始が例年よりも遅れたことから、12月中旬以降にも、新たにインフルエンザワクチンが供給される可能性があります。仮に12月中旬までに接種をできなかった場合であっても、引き続き接種の機会があると考えられます(注)。

    (注)定期の予防接種として接種ができる期間は、自治体により異なりますので、定期の予防接種の対象期間については、お住いの市区町村にご確認ください。

    Q.25: ワクチンの供給量は確保されていますか?

     以下の対策を講ずることにより、昨年度と同等程度の接種者数を確保できる見込みです(注1)。

    ・13歳以上の者が接種を受ける場合には、医師が特に必要と認める場合を除き(注2)、1回接種であることを周知徹底(注3)
    ・昨年度以上に、ワクチンの効率的な活用を徹底(必要以上に早期の、又は多量の納入を求める注文を行わない等)

    (注1)今シーズンの供給予定量(平成29年10月現在)は、約5,269万回分(約2,634万本)となります。昨年度の推計使用量は約2,642万本でした。なお、1回分は、健康成人の1人分の接種量に相当します。
    (注2)13歳以上の基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方等は、医師の判断で2回接種となる場合があります。
    (注3)Q18もご参照ください。

    Q.26: 同一バイアルから複数回の使用が可能な製品は、いつまで使用できますか?

     インフルエンザワクチンは、製品によっては、同一バイアルで複数回投与できるようにバイアル内に十分な薬液量が充填されており、複数回の使用が可能とされています。このような製品に関しては、バイアルに一度針を刺したものは、当日中に使用するよう添付文書に記載されており、製品の使用期限やワクチン取り扱い上の注意等に留意した上で、最初の吸引日時から24時間以内には使用するようにしてください。

    Q.27: インフルエンザワクチンを接種するにはいくらかかりますか?

     インフルエンザワクチンの接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則的に全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。

     しかし、予防接種法(昭和23年法律第68号)に基づく定期接種の対象者等については、接種費用が市区町村によって公費負担されているところもありますので、お住まいの市区町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医等に問い合わせていただくようお願いします(定期接種の対象でない方であっても、市区町村によっては、独自の助成事業を行っている場合があります)。

    出典:厚生労働省 インフルエンザQ&A 平成29年度
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html