A.水痘ワクチンの予防効果については、1回接種の成績において通常90%以上の抗体陽転率が認められていますが、80%台という研究結果も報告されています。また、厚生労働科学研究の平成17(2005)年3月に発表された全国アンケート集計結果では、ワクチンの接種者の水痘発症率は19.2%です。ただし、ワクチン接種者に発症した水痘の約90%は発疹50個以内のいわゆる軽症者であったことがこれまでに報告されています。しかし、この接種後罹患は周囲への感染源となりうる点から予防が重要です。その対策として、より強固な免疫を獲得するために、ワクチンの2回接種を行います。

 2回接種による効果に関しては、国内外の論文、報告書に基づいて国立感染症研究所がまとめた「水痘ワクチンに関するファクトシート(平成22(2010)年7月7日版)」には、以下のように記載されています。「米国では、1回接種者の15%程度で不十分な抗体上昇しか得られない。しかし、2回接種することにより、これらのグループにも十分な抗体を獲得させることができることが明らかにされている。」「米国では、breakthrough水痘が2回接種によりどこまで減少できるかを学校での水痘アウトブレイクに基づき解析しつつあり、すでに2件の事例が報告され、罹患率が2回接種で低いことが報告されている」。

 一方、国内では、少数例ではあるものの、接種後罹患のなかった被接種者に2回目の水痘ワクチン接種を行った結果、水痘抗体価の明確なブースター効果が確認されたとする臨床研究の報告があります。

出典:「予防接種に関するQ&A集 水痘」-一般社団法人日本ワクチン産業協会(岡部信彦 川崎市健康安全研究所所長、多屋馨子国立感染症研究所感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長)