今後の患者報告数の推移に要注視 今後の患者報告数の推移に要注視
厚生労働省が3月24日に発表した「インフルエンザの発生状況について」2025年第11週(3/10-16)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は2.23。前週の2.02から、約10.3%増加しました。インフルエンザは、第9週(2/24-3/2)を境に2週連続の増加となりました。都道府県別にみると、北海道(3.96)・栃木県(4.12)・千葉県(3.20)・新潟県(5.86)・長野県(5.36)・和歌山県(3.08)・沖縄県(4.96)が高くなっています。インフルエンザは、学校などの集団生活の場で広がりやすいとされています。インフルエンザで、特に気がかりなのが、就学以降の小児・未成年者の男性で「異常行動」が報告されていることです。今回、ご紹介するのは、インフルエンザに罹患した小学校1年生のお子さんが、熱せん妄を起こした経験談です。

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≪経験談≫インフルエンザにかかった小学1年生の男児が、熱せん妄

「前日の夜、疲れている様子だったので早めに寝かせました。夜中、泣きながら母の寝室へ来たので一緒に寝ていましたが、だんだんと身体が熱くなってきているのに気付き、検温すると39.4℃。周りでインフルが流行っている話を聞いていたので、当日の受診はせずに次の日に受診、インフルエンザA型陽性の診断でした。発症当日は最高40.0℃まであがり、かなり辛そうでした。もともと熱せん妄がひどい子なのでこの日も何度も目を覚まして大泣きしていました。次の日(受診した日)には38.3℃〜37.0℃台まで下がり食欲、元気も出てきていました。今年は流行り出すのが早かったので、早々に感染しましたが他の家族にうつることなく終えたのでホッとしました」

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエンザは、2週連続の増加となりました。しかし、増加はしているものの流行と言った状況ではありません。春休み期間のデータでは、減少していると考えられます。年末年始に大流行をみせたA型とは違う、B型が出ているように見えなくもありませんが、見極めにはもう少し時間が必要です。とは言え、B型が流行するにしては、時期が遅いです。春休み明けの4月の状況を確認するまで、様子見が必要と考えています」としています。

インフルエンザにかかった時の異常行動について

また以前、抗インフルエンザウイルス薬の服用後に異常行動(急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロするなど)を起こしたということが話題になったことがあります。抗インフルエンザウイルス薬の服用は問題ないのでしょうか。
安井良則医師「これまでの調査結果などからは、インフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない場合でも同様の行動が現れることが報告されています。異常行動はインフルエンザ特有の症状だと考えられますので、抗ウイルス薬を服用してもしなくても、こうした異常行動には注意が必要です。特に就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いとされているので、この年代の男性がインフルエンザにかかったときは、熱の出始めのときに注意が必要だと思います」としています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。

引用
厚生労働省:インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏