【3月に注意してほしい感染症!】RSウイルス感染症堅調に増加 伝染性紅斑(りんご病)は増加の予測 医師「麻しんの患者発生状況を注視。3月以降も注意」
今後、麻しんの流行の可能性はあるのでしょうか?感染症に詳しい医師に聞きました。
麻しんとは?
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。感染すると約10日後に発熱やせき、鼻水と言った風邪のような症状が現れます。2〜3日熱が続いたあと、39℃以上の高熱と発しんが出現します。肺炎や中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎を発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症する
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症すると言われており、発症者と同じ部屋にいるだけで感染することがあります。感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「日本は2015年に麻しん排除国に認定されています。以来、国内で麻しん(はしか)を発症するケースは、海外で感染して日本で発症する、あるいは感染している海外の方が来日して他の人にうつして発症するという場合がほとんどでした。しかし、最近は、海外への渡航歴もなく、感染経路もわからない患者が発生し始めています。感染に気付かずに公共交通機関を利用したり、多くの人が集まる商業施設などを利用して、他の人にうつしているケースもあります。私の勤務先に、電車内で突然倒れた方が搬送されたケースでは、発熱の症状があったものの、特徴的な発疹などは無く、当初は、麻しんとは分かりませんでした。しかし、その後、他の麻しん患者が利用した百貨店を訪れていたことが判明。後日、麻しんと診断されました。麻しんは、感染力が強いため注意が必要です。また、今年は関西万博が開催され、多くの外国の方が来日することが予想されますが、麻しんが流行している地域から、麻しんウイルスを持ち込むケースも増えてくると思います。今はまだ爆発的に感染者が増えるということはないと思いますが、患者数はこれからも増加していくことが十分考えられると思います」と語っています。ワクチン接種が最も有効な予防法
麻しんはワクチンで予防ができる感染症です。現在は定期接種となっており、1歳になった時と、小学校入学前の1年間の2回接種します(多くはMR=麻しん風しん混合ワクチンが接種されます)。ワクチンを接種すると1回で95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得でき、2回接種すれば、1回では免疫がつかなかった多くの方に免疫をつけることができるといわれています。0歳児の感染に注意!
しかし、0歳児はワクチンの接種を受けられず、免疫を獲得することができません。WHOのデータによると、2023年には世界で約1000万人が感染し、推定10万人が死亡しました。そのほとんどがワクチン未接種の人、またはワクチン接種を受けていない5歳未満の子どもたちでした。安井医師「今、海外から麻しんが持ち込まれているケースはベトナムなど東南アジアからが多くなっています。実際、ベトナムでは麻しんが流行しており、2024年に日本の総領事館から注意喚起が出されました。麻しんはワクチンで予防できますが、ワクチン未接種の0歳児は感染の可能性が高く、こうした流行国に渡航する場合は特に注意するか、渡航しないという判断も必要だと思います。かつては多くの人が罹患した麻しんですが、極めて感染力が高く、また重症化する可能性のある注意すべき感染症です。これからの流行状況を注視していく必要があると思います」
引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2025年第11週(3/10〜16)、麻疹排除・根絶へ向けた世界と日本の状況(2023年9月27日)
厚生労働省:麻しんについて
World Health Organization(WHO):Measles cases surge worldwide, infecting 10.3 million people in 2023
在ホーチミン日本国総領事館:麻しんについての注意喚起(2024年9月10日)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2025年第11週(3/10〜16)、麻疹排除・根絶へ向けた世界と日本の状況(2023年9月27日)
厚生労働省:麻しんについて
World Health Organization(WHO):Measles cases surge worldwide, infecting 10.3 million people in 2023
在ホーチミン日本国総領事館:麻しんについての注意喚起(2024年9月10日)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏