感染症・予防接種ナビに寄せられた経験談をご紹介します。
【3月に注意してほしい感染症!】RSウイルス感染症堅調に増加 伝染性紅斑(りんご病)は増加の予測 医師「麻しんの患者発生状況を注視。3月以降も注意」
国内のみならず、世界各地でも患者報告
2024年から、国内各地で麻しん(はしか)の患者報告があがっています。感染経路が不明なケースもありますが、2025年に入ってからの行政機関の発表では、確認された患者の多くはベトナムに渡航・滞在歴があったとされています。麻しん(はしか)は、世界的に東南アジアで多く報告されていますが、WHO(世界保健機関)は、ロシアを含むヨーロッパで、2024年に12万件を超える患者報告があったと発表。ワクチン接種を呼び掛けています。感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「麻しん患者の発表が国内各地で相次いでいます。海外で感染し国内に持ち込まれたと考えられるケースが増加しており、注意が必要です。都道府県別の報告に注意する必要がある一方で、大きな国際空港のある都市とその周辺で患者報告がされていることから、空港利用者の行動範囲にも注視する必要があります。2025年に入ってからの患者の多くは、ベトナムの滞在歴が報告されており、渡航者や帰国者で、発熱・発疹などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関に電話で相談してください。麻しんは、ベトナムなどの東南アジア地域だけでなく、ヨーロッパやアメリカ南西部での流行も報道されています。流行地域との往来などで、海外からの麻しんの持ち込みが続けば、いずれ国内循環する可能性も否定できません。特に、気がかりなのが、2025年4月から開催される大阪・関西万博の開催です。開催期間は、10月までと約半年に亘るため、海外からの来訪客が長期的に増加します。開催期間の前後も含めて、流行する可能性があります。麻しんは、もっとも感染力が強い感染症で、同じ部屋にいるだけで感染する可能性があります。行政機関が利用した施設・交通機関を公表しているのは、そのためです。公表された施設を利用した方に、万が一、発熱などの症状があれば、まずは医療機関に、電話で相談してください。そして受診する際に、公共交通機関を利用することは避けてください」としています。症状
典型的な麻しんの発症例では、感染後10~14日間の潜伏期を経て、以下の経過をたどります。(1)カタル期:38℃前後の発熱、上気道炎症状等、経過中に頬粘膜にコプリック斑出現
(2)発疹期:39℃以上の発熱、頭頚部より発疹が出現して全身に広がる
(3)回復期
カタル期が最も感染力が強い時期となっており、カタル期で麻しんであることに気づかずに行動することが、感染を広げる原因となります。合併症として肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎等があり、2000年に大阪で麻疹が流行した際には入院率は40%を超えました。未だに有効な治療方法はありません。
ワクチン接種が最も有効な予防法
麻しんはワクチンで予防ができる感染症です。現在は定期接種となっており、1歳になった時と、小学校入学前の1年間の2回接種します(多くはMR=麻しん風しん混合ワクチンが接種されます)。ワクチンを接種すると1回で95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得でき、2回接種すれば、1回では免疫がつかなかった多くの方に免疫をつけることができるといわれています。定期接種の期間を逃してしまったら…
麻しんワクチン(MRワクチン)は決められた期間であれば、公費で無料で受けることができます。その期間が過ぎてしまった場合でも自費になりますが、接種することはできるので、かかりつけ医などにご相談ください。現在、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)の供給が不安定になっていることなどから、2025年度から、国が定期接種の2年間の延長措置を実施する旨を自治体に通知しています。対象は、1歳と小学校入学前のお子さんに加え、過去に公費で接種を受けられなかった1962年4月2日~79年4月1日生まれの男性(2024年度中に抗体検査を受けていることが条件)です。気になる方は、医療機関やお住まいの市区町村などにお問い合わせください。
引用
厚生労働省:麻しんについて、麻しん風しん予防接種の実施状況
国立感染症研究所:麻疹
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏
厚生労働省:麻しんについて、麻しん風しん予防接種の実施状況
国立感染症研究所:麻疹
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏