しかし、都道府県別にみると、東京都(3.50→3.70)・神奈川(4.87→5.09)・埼玉県(6.31→7.13)・千葉県(7.06→7.50)・愛知県(7.81→8.12)・大阪府(3.83→4.30)・福岡県(5.28→7.26)となっており、関東地方と大都市で、増加傾向となっています。
※注(前週→今週)
現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。
【2月に注意してほしい感染症!】感染症全般に落ち着きもインフルエンザB型の流行の可能性 医師「溶連菌感染症も動向注視」
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「2024年末から、新型コロナウイルス感染症の患者報告数は、週ごとに増減を繰り返していましたが、第5週は横ばいとなりました。全国的に減少している地域が多い一方で、関東地方や大阪・愛知と言った大都市で、微増しています。この状況については、しばらく注視が必要です。過去4年間は、1~2月にかけて、患者報告数の増加が見られましたが、2025年は、これまでのところ、患者報告数の大きな増加は見られていません。私の勤務先では、年始に新型コロナで入院される方が続いていましたが、その後、1月末頃には、新規入院は0になりました。ほっと胸をなでおろしていたのも束の間、2月に入り、再び入院される方が散見されるようになりました。しかし、いずれも、肺炎などの新型コロナの典型的な症状で入院された訳では無く、入院のためのスクリーニング検査で、ウイルスが検出され、感染が判明したケースばかりです。冬休み明け、特に、学校再開の影響が強まる第3週(1/13-19)以降の患者報告数の動向について注視していましたが、今後、患者報告数が減少していく可能性も考慮すべきと考えています」としています。新型コロナウイルス感染症とは?
新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。新型コロナウイルス感染症関連死亡例は、年間約5〜6万人
厚生労働省では、COVID-19関連死亡数について公表しています。それによると、新型コロナウイルスが、最も死亡に影響を与えて亡くなった例が、2022年は約3万4千人、2023年は約2万5千人。また、新型コロナウイルスが直接の死因には関係していないが、影響を及ぼして亡くなった例が、2022年は約2万6千人、2023年は約2万4千人いました。合計すると2022年は約6万人が、2023年には約5万人が新型コロナに関連して亡くなっています。安井医師「これほど死亡例の多い感染症は、国内には他にありません。2023年5月に5類感染症になったことから、インフルエンザなど他の感染症と同じような印象を持たれる方も多いと思いますが、社会の一部の声を鵜呑みにすることは危険と考えています。特に高齢者、基礎疾患のある方にとって、新型コロナウイルスは命に関わる感染症です。また後遺症に苦しまれている方もいらっしゃいますし、引き続き感染対策や臨床現場での治療は高い意識を持って臨むことが重要であると考えています」
冬場は部屋の換気を忘れずに!
新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。
引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について2025年第5週
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について2025年第5週
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏