厚生労働省が1月24日に発表した「インフルエンザの発生状況について」2025年第3週(1/13-19)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は18.38。前週の35.02からほぼ半減しました。一方で、警報が解除される基準となる定点10未満の都道府県は無く、引き続き注意が必要です。
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インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
■感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「2024年末に、インフルエンザは、過去最多の全国定点報告となりました。短期間の大きな流行となりましたが、2024年末から2025年始にかけての流行は、A型が中心でした。A型の流行は、年末年始に大きな流行があった地域を除き、全国的には、落ち着いて行くと考えています。また、現在、その兆候はありませんが、今後、B型が流行する可能性も否定できません。手洗いや換気などの一般的な感染症対策は、継続して頂きたいと思います」としています。
■インフルエンザのウイルスの種類
インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類され、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。A型には香港型、ソ連型の流行が多く、その中でさらに細かい型に別れ、毎年小さな変異もするので、毎年インフルエンザにかかることがあります。B型にも山形型、ビクトリア型があり、同様に細かい型に別れ、変異をするので、何度も感染することがあります。
安井医師「B型はA型よりも遅く1月の終わりから2月にかけて流行することが多く、2024年も年明けからA型と入れ替わる形でB型が流行しました。B型は、大きな流行にはならないと言った話も耳にしますが、そんなことはありません。以前に、2月の終わりから3月の初めにB型のピークがあった年があり、その時は全国の定点あたり報告数が50を超える大きな流行になりました。しかし、B型は、流行する年としない年があるので、今シーズン、これから流行するのかしないのか予測は難しいのですが、注意深く見ていかないといけないと思います」
インフルエンザB型にもワクチンは対応
インフルエンザワクチンには、発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾患のある方など、罹患すると重症化する可能性が高い方には効果が高いと考えられています。インフルエンザワクチンはB型にも効果があるのでしょうか。
安井医師「インフルエンザワクチンは毎シーズン流行すると予想される株に合わせて作られていて、A型2種類、B型2種類、計4種類の株に対応する4価ワクチンになっています。ワクチンの効果は5〜6か月続くとされているので、去年接種された方は、これからB型が流行したとしても、効果は保たれていると考えられます。同時に手洗い、マスク、換気など基本的な感染対策を引き続き行い、予防に留意していただきたいと思います」
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和7年第3週、令和6年度インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏