【2025年】1月に注意してほしい感染症!新型コロナ変異株XEC流行に注意 医師「社会の一部からの声に惑わされるべきではない」 インフルエンザ冬休み明けの動向要注意
ヒトメタニューモウイルス感染症とは?
ヒトメタニューモウイルスとは、2001年に発見されたウイルスで、あらゆる年齢の人が感染・発症します。主に冬の終わりから春にかけて流行すると言われており、感染している人の咳やくしゃみなどの飛沫から感染する可能性が高いとされています。潜伏期間は3〜6日で、一般的な症状としては、咳、発熱、鼻詰まり、息切れなど。通常は軽い風邪のような症状で済みますが、気管支炎や肺炎に進行することがあります。特に幼児や高齢者、免疫系に疾患がある方に上気道及び下気道疾患を引き起こす可能性があります。治療については抗ウイルス薬はなく、症状を和らげる対症療法になります。WHOは「流行は予想の範囲」
中国の報道を受けて、WHO(世界保健機関)1月7日、ニュースリリースを発表しました。そこでは北半球で流行しているインフルエンザ、RSウイルス感染症、ヒトメタニューモ感染症を含む呼吸器感染症は、増加しているものの、予想の範囲であるとしています。では、日本ではどの程度流行しているのでしょうか。感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「一部、報道では、センセーショナルな取り上げ方をされていますが、実は、国内でもお子さんを中心に、毎年のように患者報告はされています。しかし、日本ではヒトメタニューモウイルス感染症の患者数の全国的な統計が取られていないので、実際にどの程度流行しているのかわからないのが現状です。幼稚園・保育園など、子どもたちの間で多く流行すると言われていますが、高齢者施設などでも集団感染が起きた事例が、過去に何度もあります」過去には子どもや高齢者で入院例も
2022年の4〜5月に、沖縄県の小児基幹病院で0歳7か月から6歳6か月までの7人の子ども(そのうちの5人は基礎疾患を有す)が入院。いずれも呼吸に障害があり、そのうちの2人は人工呼吸器を必要とするほどの症状でした。また、2016年には、ある特別養護老人ホームで発熱・咳・喘鳴(ぜんめい…ゼイゼイする)を訴える入所者が28人出て、うち9人が入院しました。発症者の1人からヒトメタニューモウイルスが検出され、集団感染が疑われる事例となりました。子どもや高齢者、基礎疾患がある方は重症化の可能性もあり、注意が必要な感染症です。過度におそれる必要はないが…
安井医師は「ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスに近いウイルスで、症状も呼吸困難を起こすなど似たところもあります。一方、RSウイルスは生後すぐから感染する可能性があり、生後1か月未満の乳児が感染すると突然死につながる無呼吸発作を起こすことがありますが、ヒトメタニューモウイルスは生後6か月頃から感染が始まるという違いもあります。聞き慣れない名前のウイルス感染症が流行することで、不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、普通は風邪程度の症状なので、過度におそれる必要はないと思います。しかし、幼いお子さんや高齢者、基礎疾患をお持ちの方などは重症化することもあるので、普段からの感染対策は引き続き行っていただきたいと思います」と語っています。ヒトメタニューモ感染症の予防方法は?
ヒトメタニューモウイルス感染症の予防には、他の飛沫感染や接触感染で広がる感染症と同様の対策が有効です。飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや消毒。そして部屋の換気をすることも予防につながります。
引用
World Health Orgaization (WHO) : Human metapneumovirus (hMPV) infection, Trends of acute respiratory infection, including human metapneumovirus, in the Northern Hemisphere (Jan 7 2025)
Centers for Disease Control and Prevention(CDC):About Human Metapneumovirus,
国立感染症研究所「高齢者施設におけるヒトメタニューモウイルス感染症集団発生疑い事例」(IASR Vol. 38 p248-250: 2017年12月号)、「COVID-19流行下の小児基幹病院における当院に入院した重症ヒトメタニューモウイルス感染症の状況」(IASR Vol. 43 p188-189: 2022年8月号)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
World Health Orgaization (WHO) : Human metapneumovirus (hMPV) infection, Trends of acute respiratory infection, including human metapneumovirus, in the Northern Hemisphere (Jan 7 2025)
Centers for Disease Control and Prevention(CDC):About Human Metapneumovirus,
国立感染症研究所「高齢者施設におけるヒトメタニューモウイルス感染症集団発生疑い事例」(IASR Vol. 38 p248-250: 2017年12月号)、「COVID-19流行下の小児基幹病院における当院に入院した重症ヒトメタニューモウイルス感染症の状況」(IASR Vol. 43 p188-189: 2022年8月号)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏