流行地域は注意 流行地域は注意
厚生労働省が、2025年1月9日に発表した「インフルエンザの発生状況について」2024年第52週(12/23-29)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は64.39。前週42.66からも、更に増加しました。九州地方では、多くの報告数があがっており、大分県(104.84)・鹿児島県(96.40)・佐賀県(94.36)・福岡県(80.94)・宮崎県(90.24)・熊本県(92.56)・長崎県(82.27)となっています。また、埼玉県(76.56)・千葉県(78.52)・愛知県(82.35)・・兵庫県(74.40)・山口県(76.37)・愛媛県(85.02)で定点70を超えています。

【2025年】1月に注意してほしい感染症!新型コロナ変異株XEC流行に注意 医師「社会の一部からの声に惑わされるべきではない」 インフルエンザ冬休み明けの動向要注意

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「2024年第52週のインフルエンザの全国定点報告数は、64.39で過去最多となり、全ての都道府県で増加しました。私自身、インフルエンザに罹患した医療関係者も多く目にしました。また、来院した患者さんを検査したところ、インフルエンザと新型コロナウイルスに同時に感染したケースもありました。2025年第1週定点データは、年末年始の暦の関係で、多くの医療機関が休診しているため、いったん下がったように見えるデータが出てくると考えています。しかし、保育園・幼稚園・学校が再開する第2週以降、どのような動きになるかを注視しています。現在、九州地方などで、大きな流行となっていますが、これまでの傾向として、12月に爆発的に増加した地域では、1月以降の流行は落ち着きをみせます。12月に大きな流行をみせていない北日本では、1月以降の流行に注意が必要です。また、インフルエンザをしばらく診察していない医療関係者も増えていると思います。私の勤務先では、薬剤使用にあたっての手順を再確認するために、院内に手順書を掲示しています。患者さんのことを考えて、今一度、関係者に周知して頂きたいと考えています」としています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

インフルエンザにかからないために

インフルエンザを予防する有効な方法は次のようなものがあります。
・外出後の手洗い
流水・石けんによる手洗いは、手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。
・適度な湿度の保持
 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適度な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。
・十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
 体の抵抗力を高めるためには、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取が効果的です。
・人混みや繁華街への外出を控える
 やむを得ず人混みに入る可能性がある場合は、防御のために不織布製マスクの着用しましょう。
・室内をこまめに換気する
常時換気設備がない場合は、定期的に窓を開けましょう。対角線上にあるドアや窓を2か所開放すると、効果的な換気ができます。
・ワクチンの接種
 ワクチンの効果があらわれるのは接種から2週間程度かかりますが、接種がまだの方は、ご検討をお願いします。インフルエンザワクチンは感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第52週、令和6年度インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏