流行のピークはまだ先? 流行のピークはまだ先?
厚生労働省が12月20日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第50週(12/9~15)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は19.06。前週から9.03から2倍以上の急増で、3週連続して倍増を続けています。

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全都道府県で前週を上回る

全都道府県で前週より増加。大分と福岡が30を超え警報レベルに。鹿児島、愛媛、佐賀、千葉、愛知、北海道、鳥取、大阪、広島、長野、島根、岐阜、山口、三重で20を超えています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエンザはいよいよ本格的な流行となっています。インフルエンザは、新型コロナウイルス感染症が流行する以前は、今年のように急激に増加するように流行が広がっていきましたので、ようやく新型コロナの影響が弱まり、以前のような流行の仕方が戻ってきたという印象があります。このままいくと、来週には全国で警報レベルの30を超えるのではないかと思います。ただし例年の流行のピークは年明けでしたので、流行の始まりが少し早まっているのか、それともこれからさらに増加して大きな流行になっていくのかどうかは、注視する必要があると思います。定点当たり報告数は、年によっては60近くまで増加することもありました。まだまだ警戒は必要だと思います」と語っています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

入院例も急増

安井医師の勤務する病院でも、インフルエンザで入院される方が増えているということです。
安井医師
「インフルエンザで入院される方は高齢者の方が多いです。施設などで寝たきりの方、通常でも酸素吸入を行っている方などがインフルエンザに感染すると、重症化し入院しての治療が必要な場合が多くなっています。先日、90歳近い高齢の方がインフルエンザで入院され、亡くなられるケースもありました。インフルエンザは高齢者の方、基礎疾患のある方にとっては、命に関わることもある感染症ですので、しっかりとした感染対策が必要です」

今からワクチンを接種しても効果はあるの?

インフルエンザワクチンには、発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾患のある方など、罹患すると重症化する可能性が高い方には効果が高いと考えられています。では、今からインフルエンザワクチンを接種しても効果はあるのでしょうか。
安井医師「インフルエンザワクチンの効果が現れるのは接種後約2週間かかります。年内に接種したとしても効果が現れるのは1月中旬からになりますが、インフルエンザの流行は例年であれば3月頃まで続きます。また現在流行しているのはA型(AH1pdm)ですが、昨シーズン(2023~24年)には2023年末にA型が流行した後、2024年初頭にはB型が流行し、1シーズンに2回インフルエンザにかかる人もいました。型が変わった場合でも、ワクチンは有効です。これから年明けにどのような流行になるのか予測は困難ですが、特に重症化のおそれのある方は、ワクチンの接種をされてもいいのではないかと思います」

症状がある時には、無理をせず

そして、インフルエンザにかかったかなと思ったら、無理をしないことが重要です。
安井医師「体調が悪い時に無理をして学校や職場に行くと、周りの人にも感染症をうつして、余計に迷惑をかけることになるかもしれません。また、治療が遅れると症状の悪化を招くおそれもあります。症状がある時にはすぐに医療機関を受診して、診断を受ける、そして適切な治療をすることが、自分にも周りにも影響が一番少なく済む方法です。時には勇気を持って休むことも重要ではないでしょうか」

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第50週(12/9~15)、令和6年度インフルエンザQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏