今後の動向に注視 今後の動向に注視
国立感染症研究所が11月12日に発表した2024年第44週(10/28-11/3)の速報値によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は1.04。定点あたり報告数が1を超え、流行期入りの目安を超えました。都道府県別にみると、沖縄(10.64)・静岡県(2.09)・千葉県(2)・大分県(1.66)・愛媛県(1.57)・長崎県(1.53)となり、全国17の県で、既に1を超えています。特に、九州地方では、1を超えている県が多くなっています。これから温度・湿度共に低くなるため、流行に適したシーズンとなります。インフルエンザは、学校などの集団生活の場で広がりやすいとされるため注意が必要です。今回は、昨年の流行時に寄せられたインフルエンザの経験談をご紹介します。

【2024年】11月に注意してほしい感染症!インフルエンザの動向に要注視マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新医師「関東は伝染性紅斑に注意」

インフルエンザ 34歳 山梨県

前日から息子が発熱(39℃台)で、小学校でインフルエンザが流行っていました。次の日の朝から私が喉の痛みと37.5℃の発熱、すごい悪寒で「熱上がるな」と感じました。
ちょうど息子の受診予定だったので一緒に受診。息子は検査してインフルエンザA型陽性。私は発熱してすぐだったので検査はしませんでしたが、息子と喉の赤い感じが一緒とのことでみなし陽性になり、その場で吸う薬を処方されて吸いました。
帰宅後すぐに熱が上がり38℃台。悪寒とすごい頭痛で起き上がれず、気持ち悪くて嘔吐1回しました。熱は3日目に37℃台まで下がりそのまま落ち着き、4日目まで頭痛と身体の痛みがありました。カロナールを、何回か飲みました。食欲がほとんどなく、3日間はスポーツ飲料とゼリーのみで過ごしました。その後は鼻水が残りましたが徐々に快方に向かいました。私の感想ですが、新型コロナにかかった時のほうが辛かったです。

子どもの不意の行動に注意を

小児、未成年ではインフルエンザにかかった時は、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回るなどの異常行動を起こすことが知られています。小さなお子さんがインフルエンザと診断され自宅で療養する場合には、少なくとも2日間は一人にならないように配慮してください。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエンザの全国定点報告が1を超え、流行入りとなる目安を超えました。インフルエンザの流行に適した季節になるのは、まだ先です。0.4を超えると、患者数の伸び幅が大きくなると言われていますが、多少、増加したものの、まだ足踏みしているような状況です。しかし、流行入りの目安を超えた地域も増加しており、学級閉鎖の話なども、少ないながら、耳にします。インフルエンザは、学校などでの集団生活の場で、流行します。今後の増加速度・規模の予測は、なかなか難しいですが、今、一番注意しなければならない感染症ということは、間違いないでしょう」としています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

現在流行しているのはA(H1)pdm09型

第42週時点で、主に流行しているのはA(H1)pdm09型で、2009年に新型インフルエンザとして流行したものですが、去年も流行しました。現在では他のインフルエンザの型と症状に特に大きな違いはないとされています。昨シーズンは去年の12月頃まではA(H1)pdm09とA(H3)が主に流行の中心でしたが、今年に入りB型(ビクトリア系統)という型が流行の中心となりました。1シーズンで何度もインフルエンザにかかるケースがありますが、違う型に感染し発症するというケースが考えられます。

インフルエンザワクチンは複数の型に対応

そのため、インフルエンザワクチンはそのシーズンに流行が予想される複数の型に対応して作られています。今シーズンのワクチンはA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B(山形系統)、B(ビクトリア系統)の4種類の型に対応するワクチンが接種されています。インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対にインフルエンザにはかからないというものではありませんが、発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては一定の効果があるとされています。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。また、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告さています。

インフルエンザワクチンの接種が始まっています

今シーズンのインフルエンザワクチンの接種が始まっています。13歳以上の方は原則1回接種、13歳未満の方は2回接種で、1回目の接種から1〜4週間の間隔をあけて2回目を接種することとされていますが、免疫効果を考慮すると4週間あけることが望ましいとされています。ワクチンの効果が現れるまでには2週間程度かかるので、流行前に早めに接種しておくことが重要です。また、65歳以上の方、60〜64歳で一定の基礎疾患(心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)は、毎年1回定期接種としてインフルエンザワクチンの接種を受けることができます。これらの方は重症化のリスクが高い方ですので、早めにかかりつけの医師に相談してください。
引用
国立感染症研究所:2024年第44週速報、「インフルエンザとは」「インフルエンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」「インフルエンザワクチン株」
厚生労働省:インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏