加齢、疲労、ストレスなどが引き金に! 加齢、疲労、ストレスなどが引き金に!
帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。帯状疱疹は、かつて水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症の可能性があります。
今回、ご紹介するのは、過去に寄せられた東京都の40歳の方からの経験談です。これから迎える、年末の繁忙期シーズンは、疲労等により免疫が低下する可能性もあり、注意が必要です。

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帯状疱疹の体験談(40歳 東京都)

「年末で決算が重なり、徹夜続きでした。後から聞いたのですが、友達からかなり顔色が悪かったと言われました。まず心臓(胸部?)が数秒毎に痛くて立っていられないほどでした。年末だったので近所の開いている病院に行ったのですが、専門医が不在で別の大きな救急外来へ。心臓だと思ったので、レントゲンやCTを撮ったのですが全く異常が無く、その日は帰りました。検査の間で痛みは少し落ち着いていました。その数日後、背中が痛くなり、湿布を貼ったらかぶれたようになっていたので、1月3日に同じ病院の皮膚科へ。直ぐに帯状疱疹だと言われ、入院と言われたのですが、そうも行かず子供がいない事を聞かれ、他と接触しない事を条件に自宅通院にして貰いました。症状がかなり進んでいたので、水膨れも酷く横向きで寝ないといけなかったので眠れない日が続きました。冬なのにTシャツ一枚で過ごしましたが、肌に触れると激痛でした。飲み薬、塗り薬と通院で1〜2カ月かかりました。その後、胸がピリピリした感じは3〜4年続きました」

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です。子どもの頃などに水痘にかかると、症状が消えても、ウイルスは神経節に残ります。そして加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制状態などをきっかけに、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって発症します。50代から発症者は多くなり、水ぼうそうにかかったことがある人なら約10〜30%、85歳以上の方は約50%が帯状疱疹を経験しているという報告もあります。経験談の方は40歳と若いのですが、疲労が重なったことが発症の原因だったのでしょうか。症状としては体の片側に、時に痛みを伴う水疱状の発疹が発生します。通常発症する部位に、発疹が出現する2〜3日前からかゆみや痛みが発生します。その後、3〜5日間にわたって発疹が現れ、かさぶたになるまでには10〜15日ほどかかります。また、発疹が治っても帯状疱疹後神経痛といって、発症した部位の痛みが長く続くことがあります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「この方のように帯状疱疹にかかったあと、帯状疱疹後神経痛で悩まれる方は多いと思います。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の皮膚症状が治まった後に現れる後遺症で、痛みが途切れることなく続くことがあり、眠れないことも珍しくありません。直接診断した訳では無いので、不明な部分もありますが、入院されたと言うことは、痛みがひどく、辛かったのだろうと思います。帯状疱疹は、一般に、発疹が出る前に、ピリピリ・ズキズキとした痛みが現れます。通常は、発疹の出ている患部周辺に痛みを感じるのですが、人によっては、随伴性で他の部位に痛みを感じるケースもあります。ピリピリ・ズキズキする痛みを感じたら、帯状疱疹を疑うことも大切です。早期に皮膚科を受診し、医師に症状を伝えてください。発症が年末年始と言うタイミングもあったので、難しいところもあったと思いますが、1日も早く、抗ウイルス薬を処方してもらった方がいいでしょう。」と語っています。痛みは数か月から数年にわたることがあり、「焼けるような」「締め付けるような」持続性な痛みや「ズキンズキンとする」痛みを訴えることが多くなっています。軽く触っただけでも強い疼痛を感じることがあり、睡眠や日常生活を障害するほど重篤な場合があります。

帯状疱疹で子どもに水痘をうつすことはある?

体験談でこの方は医師に、子どもがいないかどうか質問されています。これについて安井医師は、「おそらくお子さんに水痘(水ぼうそう)をうつすことを心配したのだと思います。帯状疱疹でおこる水疱には水痘・帯状疱疹ウイルスが含まれるため、まだ水痘にかかったことのないお子さんがいると、接触感染でうつしてしまうことがあります。今は水痘ワクチンが定期接種となっているため、多くのお子さんは水痘に対する免疫を持っているので発症しにくくなっていますが、ワクチン接種は1歳からなので、0歳児のお子さんがいる場合には、注意が必要だと思います」としています。

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンの接種を

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンが有効です。50歳以上になると帯状疱疹のリスクが高まるので、接種を検討してみてはいかがでしょうか。帯状疱疹ワクチンは2種類あります。また、接種費用の補助が出る自治体もあるので、詳しくはかかりつけ医などにご相談ください。

引用
国立感染症研究所:帯状疱疹ファクトシート(2017年2月10日)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏