【2024年】9月に注意してほしい感染症!新型コロナ9月上旬まで要警戒 マイコプラズマ肺炎・溶連菌感染症は学校再開後の動向に注意 医師「インフルエンザ早ければ9月から流行」
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を原因菌とする肺炎で、流行時には市中肺炎全体の20〜30%を占めることもあります。感染経路は飛沫感染(せきなどの飛沫を吸いこむ)、接触感染(患者と身近で接触する)です。患者は1〜14歳に多く、家庭内や学校などでしばしば集団感染が起こります。潜伏期間は感染後2〜3週間程度で、症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳などで、熱が下がっても咳が長く続くことがあります。肺炎の場合でも比較的症状は軽く、肺炎に至らない気管支炎症例も多いとされています。しかし、重症化して入院治療が症例もあります。感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「当院でもお子さんの入院例は増えていて、肺炎の症状が見られました。マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は、比較的長く、夏休み明けに学校等の集団生活で感染した方が、発病するのが、9月中~下旬ころになると考えられ、これからデータに現れてくると考えています。流行が拡大すると、肺炎の患者さんが増えていくので、注意が必要です」としています。患者数は定点当たり報告数よりも多い?
マイコプラズマ肺炎は、感染症法に基づく感染症発生動向調査においては5類感染症、定点把握対象疾患に位置づけられており、全国約500か所の基幹定点医療機関(小児科および内科医療を提供する300床以上の病院)から毎週患者数(入院・外来の総数)が報告されています。これについて安井医師は「インフルエンザや新型コロナウイルスは全国5000か所の医療機関からのデータですが、マイコプラズマ肺炎は、基幹定点医療機関からのデータで、その数は約10分の1です。大きな病院からのデータですので、小さい病院にかかっている方たちを含めると、実際には定点当たり報告数よりも多くの患者さんがいると考えた方がいいと思います。ただ、実際の流行の傾向は反映していると思いますので、流行が拡大しているのは間違いないと考えています」と語っています。治療には抗菌薬(抗生物質)を使用、ただし従来の薬が効かない場合も
治療には基本的にはマクロライド系などの抗菌薬が処方されます。しかし近年、このマクロライド系の抗菌薬が効かない「耐性菌」が増えてきているとされています。この場合、他の抗菌薬で治療ができるので、医師の指示に従って服用するようにします。咳は熱が下がったあとも3〜4週間という長期にわたって続くことがあるので、適切に治療をすることが重要です。予防法は?
予防法は基本的にはインフルエンザなどと同じで、普段からの手洗いなどの感染対策が有効です。また、咳がある場合には他の人にうつさないよう、マスクを着用するなどの咳エチケットを守ってください。流行はこれからが本番?
マイコプラズマ肺炎は、流行する年には夏頃から患者数が増え始め、秋から冬にかけてピークを迎えます。今年も夏頃から患者数が増え始めていて、2016年以来8年ぶりの流行のおそれがあります。安井医師「すでに例年のこの時期で比べると、患者数は多くなっています。2016年以来大きな流行はないので、今年は過去最大の流行になる可能性もあります。マイコプラズマ肺炎は咳が長く続きますし、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎ほか様々な合併症を起こすことが知られています。潜伏期間が長いことから、夏休み明けの学校での感染の広がりの傾向は、これからデータに表れてくると考えられます。秋から冬に向かって様々な感染症が流行しますので、感染対策を引き続きお願いします」
引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第37週(9/9-15)
厚生労働省:マイコプラズマ肺炎に関するQ&A(平成23年12月作成、平成24年10月改訂)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第37週(9/9-15)
厚生労働省:マイコプラズマ肺炎に関するQ&A(平成23年12月作成、平成24年10月改訂)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏