ワクチンは50歳以上が対象! ワクチンは50歳以上が対象!
加齢とともに、発症のリスクが高くなる帯状疱疹。治療が遅れると、その後の帯状疱疹後神経痛で、長期間にわたり痛みに悩まされることがあります。帯状疱疹は早めの治療、そしてワクチンの予防が重要です。帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です。子どもの頃などに水痘にかかると、症状が消えても、ウイルスは神経節に残ります。そして加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制状態などをきっかけに、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって発症します。50代から発症者は多くなり、水ぼうそうにかかったことがある人なら約10〜30%、85歳以上の方は約50%が帯状疱疹を経験しているという報告もあります。症状としては体の片側に、時に痛みを伴う水疱状の発しんが発生します。通常発症する部位に、発しんが出現する2〜3日前からかゆみや痛みが発生します。その後、3〜5日間にわたって発しんが現れ、かさぶたになるまでには10〜15日ほどかかります。また、発しんが治っても帯状疱疹後神経痛といって、発症した部位の痛みが長く続くことがあります。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「帯状疱疹はまずかゆみや痛みから始まりますが、それはウイルスが神経を通って皮膚に達するその前兆で、すでに発症が始まっています。その後その部位に水ぼうそうと同じ水疱状の発しんが現れますが、その時にはすでに神経を傷つけている可能性があるので、それが原因で帯状疱疹後神経痛という後遺症が起こることがあります。帯状疱疹後神経痛の痛みは『焼けるような』『締め付けるような』痛みが数か月から数年にわたることがあり、軽く触っただけでも強い疼痛を感じることがあり、睡眠や日常生活を障害するほど重篤な場合があります。高齢者の方を中心に、帯状疱疹後神経痛で悩まれている方は多いと聞いています。それに悩まされないためには、早期治療、そして、その前の予防が重要です」と語っています。

帯状疱疹かなと思ったら、すぐに医療機関を受診

帯状疱疹の発しんかなと思ったら、すぐに医療機関を受診することが重要です。帯状疱疹は体の片側の胸や背中、腹などに出ることが多いのですが、顔、特に目の周りに現れることがあります。目の合併症としては角膜炎、結膜炎、急性網膜壊死、視神経炎、緑内障などがあり、視力の低下や失明など。また顔から耳の神経にも影響を及ぼすことがあります。また髄膜炎・脳炎などを発症するおそれもあります。治療法としては、抗ウイルス薬による治療があります。治療効果は発症初期ほど効果が高いため、発しんが現れてから3日(72時間)以内に投与されることが望ましく、遅くとも5日以内に投与とされています。体の片側のある部分に痒みや痛みがあり、その後発しんが現れたら、迷わず医療機関を受診し、適切な治療を受けることが、後の合併症を防ぐことになります。

50歳になったら、ワクチンで予防

帯状疱疹の後遺症で悩まないためには、ワクチンで予防しておくことが重要です。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあり、どちらも任意接種で50歳以上の方が対象です。また不活化ワクチンについては18歳以上で造血幹細胞移植、化学療法等の実施予定及び実施後の患者など、帯状疱疹に罹患するリスクが高い方も対象となります。
安井医師「帯状疱疹ワクチンは任意接種なので自己負担で受けなければなりませんが、自治体によっては全額、あるいは一部助成を行っていますので、お住まいの自治体に問い合わせていただいて、50歳になったら帯状疱疹ワクチンの接種を検討していただければと思います。特に帯状疱疹後神経痛は強い痛みが長く続きますので、後遺症の予防のためにも発症を予防するということがとても重要なことだと思います」
なお、ワクチンについては副反応があり、発熱、発しん、注射部位が赤くなる、腫れるなど。また、まれに重篤なショックやアナフィラキシーが起こることがあります。

引用
国立感染症研究所:帯状疱疹ファクトシート第2版(2024年6月20日改訂)
独立行政法人医薬品医療機器総合機構:ワクチン接種を受ける人へのガイド検索「帯状疱疹の予防」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏