高齢者施設や医療機関ではマスクを! 高齢者施設や医療機関ではマスクを!
厚生労働省が令和6年7月12日に発表した令和6年第28週(7/8-14)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は11.18。前週と比較すると約1.4倍、前々週からは約2倍になりました。これで10週連続の増加となっています。

【7月に注意してほしい感染症!】新型コロナ徐々に増加 夏の感染症「手足口病」警報レベルのエリアも… 医師「マイコプラズマ肺炎、今後、更に増加」と予測

鹿児島は30超え。九州を中心に西日本で患者数が多い

都道府県別の定点当たり報告数では、沖縄と北海道以外は増加しています。多い順では鹿児島が31.75で最も多く、佐賀29.46、宮崎29.34、沖縄28.57、熊本26.33、長崎22.40、大分20.07が20を超えています。また20の県で定点当たり報告数が10を超えています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、勤務する病院の状況をこのように話しています。「当院にも毎日新型コロナに感染した方が入院されています。先週は20人でしたが、今週は28人となりました。80代以上の方が多いのですが、基礎疾患がある40〜60代の方も入院されています。他の病院からの入院要請があるのですが、既にコロナ病棟は満床に近い状態で、受け入れを断念せざるを得ない状況になっています。当院も含め、医療体制はかなり逼迫した状態になっているのではないかと思っています」

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

高齢者の新型コロナによる肺炎が増加?

安井医師は患者の症状について「現在流行している株がKP.3.3に置き換わっているというデータがありますが、症状はそれほど変化していないと感じています。しかし高齢者の方が肺炎を起こされるケースが散見されます。これは接種したワクチンによる抗体価が低下していることが原因ではないかと考えています。多くの方は去年の秋にワクチンを接種したのが最後だと思いますので、その影響があるのではないかと感じています」

夏休みの人流が新型コロナの流行を加速させる?

子どもたちの夏休みが始まり、旅行や帰省で人が動きます。それに伴い新型コロナの流行がさらに加速するかもしれません。安井医師は「新型コロナは去年も一昨年も夏に流行しています。新型コロナは若い方は重症になる方はあまり多くありませんが、高齢になるほど重症になる方は多くなります。旅行や帰省で高齢の方に会われることも多くなりますが、感染の機会も多くなります。いつどこで感染するかわかりませんので、感染対策に気をつけていただきたいと思います」としています。

夏の感染対策のポイント

新型コロナウイルス感染症の感染予防には、「換気」「手洗い・手指消毒」などの基本的な感染対策が有効です。特に高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば重症化リスクが高まります。通院や高齢者施設を訪問するときなどは、感染予防として「マスクの着用」が効果的です。帰省等で高齢の方と会う場合、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第28週(7/8~14)、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて、夏の感染対策ポイント
国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年6月

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏