高齢者施設や医療機関ではマスクを! 高齢者施設や医療機関ではマスクを!
厚生労働省が令和6年7月5日に発表した令和6年第27週(7/1-7)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は8.07。前週と比較すると約1.4倍となり、流行が拡大しています。

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沖縄は高水準で流行が継続。九州全県で10を超える

都道府県別の定点当たり報告数では沖縄29.92で、30に迫る勢い。そのほか鹿児島23.13、宮崎19.74、熊本18.24、佐賀16.31、高知12.75、長崎12.61、大分11.43、福岡11.28、千葉10.91が10を超えています。全都道府県で前週より増加するなど、全国的な流行が始まっています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「当院でも現在20人ほどが新型コロナウイルス感染症で入院しています。もちろん、退院する方もいらっしゃいますが、入院される方も毎日3人ぐらいずつ増えています。定点当たり報告数はインフルエンザと同じ定点を使っているので、小児科からの報告が多くなっています。しかし、新型コロナは子どもだけでなく、大人もかかりますので、実際には定点当たり報告数よりも大きな流行になっている可能性があります」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

新たな変異株KP.3が急増

国立感染症研究所感染症疫学センターでは、新型コロナウイルスに関するデータを発表していますが、第22から25週にかけての調査では、その期間に検出した新型コロナウイルスはBA.2系統が89.29%。特にKP.3.3という株が70.71%と最も多くなりました。KP.3.3はオミクロン株の一種ですが、ワクチンや感染による中和抗体による免疫からの逃避の可能性が高く、以前感染したことがある人でも、再感染しやすいと言われています。一方、症状については過去に流行したBA2.86などとそれほど変わらないと見られています。

ワクチンの効果が低下?

安井医師は医療現場の状況をこう語っています。「現在流行している株がKP.3.3に置き換わっても、症状はそれほど変化していないと感じています。しかし肺炎の方が多くなっていて、高齢者の方でも肺炎がみられるようになりました。これは以前にはなかったことです。原因として考えられるのは、ワクチンを接種してから多くの方が6か月以上経過していて、抗体価が下がっているのではないかということです。今年の秋冬に自治体による定期接種が予定されていますが、この夏の流行は重症化に十分注意する必要があると思います」

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第27週(7/1~7)、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて
国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年6月

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏