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どの世代も注意 どの世代も注意
帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇します。一方で、10代の後半での発症も多く報告されています。若い方でも注意が必要な感染症と言えるでしょう。今回、ご紹介するのは、愛知県から「感染症・予防接種ナビ」に寄せられた、24歳の方の経験談です。

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帯状疱疹 24歳 愛知県

9/26 仕事中。左太腿に激痛がはしる。始めは何かに刺されたと思った。しばらくすると良くなったが、夜にまた激痛がはしる。
9/27 痛みはなし。近所の整形外科に行く。骨盤の骨が原因だと言われるが納得いかず。
9/28 痛みはなし。左太腿にポツポツができる。やっぱり何かに刺されたと思った。調べると帯状疱疹があることを知る。
9/29 夜寝る時に激痛が3度来て、起きる。
9/30 他の整形外科受診。帯状疱疹の疑いがあると言われる。そのまま皮膚科を受診。ここで発覚する。5分おきぐらいに激痛がはしり、全く眠れない。本当に辛い。痛みとしてはズキン!とえぐられるような電気が走っているような痛み。
10/1 激痛は治らない。ロキソニンも全く効かない。温めるとよいと聞いて、湯たんぽを使う。気休め程度だがよかった。
10/2 ペインクリニック受診。背中に麻酔を打ってもらう。8時間くらい効いたが、激痛が5分おきぐらいに走るようになった。
今の時点です。本当に辛い、寝たくても激痛で起こされる。あとどれぐらい我慢すればいいんだろうと毎日思っている。仕事はいけない。食欲もない。あと何日で治るのでしょうか…。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「痛みがひどく、辛いのだろうと思います。帯状疱疹は、整形外科のお医者さんでは、なかなか気づけないケースもあります。ピリピリ・ズキズキする痛みを感じたら、帯状疱疹を疑うことも大切で、医師に症状を伝えてください。その際、早期に皮膚科を受診することが肝要です。1日でも早く、抗ウイルス薬を処方してもらってください。今回の経験談は、直接診断した訳ではないので、痛みの具合や発疹の範囲など、分からない部分も多いですが、場合によっては、痛みが続く可能性もあります。帯状疱疹は、50歳を超えると発症率が、一気に上がることが知られていますが、10代の後半など、若い世代での発症も珍しくありません。好発年齢の方は、ワクチンがあることも知っておいていただければと思います。帯状疱疹で、気がかりなのは、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる、長期に渡る痛みなどが続くことです。以前、旅行前に発症し、そのまま旅行に出かけてしまったため、後に帯状疱疹後神経痛に悩まされた方を診たことがあります。今回の方も、ペインクリニックを受診するなど、相当、辛かったと思います。帯状疱疹後神経痛が出ないことを祈るばかりです」としています。

帯状疱疹の特徴

帯状疱疹は、かつて水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症の可能性があります。加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制状態などをきっかけに、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって発症します。水ぼうそうにかかったことがある人なら約10〜30%、85歳以上の方は約50%が帯状疱疹を経験しているという報告もあります。症状としては体の片側に、時に痛みを伴う水疱状の発疹が発生します。通常発症する部位に、発疹が出現する2〜3日前からかゆみや痛みが発生します。その後、3〜5日間にわたって発疹が現れ、かさぶたになるまでには10〜15日ほどかかります。また、発疹が治っても帯状疱疹後神経痛といって、発症した部位の痛みが長く続くことがあります。

帯状疱疹が増えている要因

また近年、帯状疱疹が増加しているという話をよく耳にします。それについて安井医師は、
「帯状疱疹が増えている原因の一つには、水ぼうそうの患者が激減したことがあると思います。現在水ぼうそうのワクチンは定期接種となっており、子どもたちが水ぼうそうを発症することは大変少なくなりました。ただしそのことにより、かつて水ぼうそうにかかったことがある人たちも水痘帯状疱疹ウイルスに接することが少なくなりました。それまではウイルスに接することで免疫が維持されていたのですが、ウイルスに接する機会が少なくなったとで、免疫が弱まっている可能性もあるのではないかと考えています」としています。

どの世代も注意

どの世代であっても、発症の可能性はあるので、年齢に関係なく注意が必要です。日本では、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類あります。ワクチンには、発症したとしても重症になることを予防できる効果と、発症そのものを予防できる効果もあると考えられています。どちらも50歳以上の方が対象となります。2016年3月に阪大微研が製造する『乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」』について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」に対する「効果・効能」が追加承認されました。接種回数は1回です。また、2018年3月には、帯状疱疹の予防のみを目的としたワクチン(シングリックスⓇ筋注用)が薬事承認されました。接種回数は2回で、接種間隔は1回目から2か月以上あけて、6か月以内に2回目を接種します。帯状疱疹予防としてのワクチンは、任意接種のワクチンとなりますので、接種費用は基本的に自費となります。しかし、自治体によっては一部助成しているところもありますので、お住まいの自治体へお問い合わせください。

参照:帯状疱疹症例調査「宮崎スタディ」
引用:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日 国立感染症研究所」
取材:大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏