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厚生労働省によると、日本における細菌性食中毒の中で近年、もっとも多く報告されているのが、カンピロバクターによる食中毒です。カンピロバクター食中毒の主な原因と推定される食品、または感染源として、生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取り扱い不備による二次汚染などがあげられています。症状は、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などで、多くの患者は1週間ほどで治癒します。一般に、細菌性食中毒の発生は、気温と湿度が高くなる夏場に多いとされます。一方で、カンピロバクター感染症は、年間を通して、発生が報告されており、注意が必要な感染症です。
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今回は、カンピロバクターによる感染症で、入院を要したケースをご紹介します。
経験談(30歳・愛知県)
天皇誕生日の祝日、彼氏と焼き鳥屋さんでレバ刺しを食べた。2/27月曜日の夜。強烈な寒気と共に38.5℃まで上がる。
2/28発熱外来を受診。コロナ、インフル陰性。医師から炎症反応が17ある、大腸が腫れていると言われ、即入院。寒気と倦怠感が酷い。40.2度まで上がり、座薬投与。
3/1-3水様便が10分おきくらいに出る。夜も寝られない。熱は37℃台。
3/4-5食事を取れるようになる。夜寝られるようになる。泥状の下痢になってくる。熱37℃台。もう二度と生は食べません!!!
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい、感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「カンピロバクターによる食中毒は、年間を通して発生しています。今回の方は、入院されたとのことですが、体内の炎症の有無を判断するCRP検査の数値が17と高い数値を示しています。この数値は、細菌感染をして、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れると、数値が上がります。カンピロバクター感染症の主な原因とされる鶏肉を生や半生、加熱不足の状態で食べるのは、感染のおそれがあるため、危険です。また、症状が回復した後、しばらくして『ギラン・バレー症候群』を発症することもあります。ギラン・バレー症候群にかかると、手足のしびれや麻痺が起こります。ある日、脚からしびれ、突然、立てなくなるケースがあり、再発の可能性もあります。私は、絶対に食べません」としています。まとめ
カンピロバクターは牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌で、この細菌が付着した肉を生で食べたり、加熱不十分の状態で食べることによって、食中毒を発症します。家庭で調理する時はもちろん、飲食店で提供されるからといって安心してはいけません。特に鶏肉の生焼けや生食は避け、じゅうぶんに加熱されたものを食べましょう。市販の鶏肉からも、カンピロバクターが高い割合(厚生労働省によると20~100%)で検出されることがわかっています。家庭で調理する際は、中心部を75℃で1分以上加熱することを目安に、表面だけでなく、中心まで完全に白くなっていることを確認してから食べるようにしましょう。一部分でも赤みが残っている場合は、必ず再加熱し、そのまま食べるようなことは決してしないでください。また、調理前は必ず手を洗い、サラダなど生で食べる食材とは別に調理するなど、二次汚染を防止しましょう。
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏