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治療薬は医師に相談を! 治療薬は医師に相談を!
厚生労働省が令和6年3月1日に発表した令和6年第8週(2/19-25)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は7.92。これで3週連続の減少。すべての都道府県で減少に転じています。

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入院患者は高齢者が多い

この週の年代別の定点あたり報告数をみると、10歳未満が約22%となっていますが、どの世代からも患者は報告されています。一方この週には2770人が新型コロナウイルス感染症で入院していますが、80歳以上の割合はおよそ5割。70歳代も約24%となっており、特に高齢者には依然として気がかりな感染症となっています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「一時の勢いはありませんが、当院にも新型コロナで入院される方は毎日のようにいらっしゃいます。やはり高齢者の方が多く、他の疾患で来院される80~90代の方を入院前に検査してみると新型コロナに感染していることがあります。新型コロナウイルス感染症の定点あたり報告数は、インフルエンザと同じで小児科からの情報が多くなっているので、データ的には小児の報告数が多くなりがちですが、実際にはどの世代にも感染の可能性はあります。未だに入院患者が、一定数いることでわかるように、重症化しやすいのは高齢の方や基礎疾患のある方です。また、大阪府の施設で、70人近い感染が確認されたクラスターの発生も耳にしています。養護施設などでは、一人が発症するとクラスターが発生することもあります。高齢者のいらっしゃるご家庭や施設では特に感染対策に気を配っていただければ」と語っています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは鼻やノドなどの上気道に感染すると考えられています。2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。また、重症化リスクが高い患者の一部では感染は下気道まで進展し(中等症に相当)、さらに急性呼吸逼迫症候群、多臓器不全(重症に相当)に至る患者もいます。

感染経路は?

感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

治療法は?

流行当初は治療薬がなく、咳止めや解熱剤など対症療法による治療が行われていましたが、今は様々な抗ウイルス薬が開発され、医療機関で処方されることも多くなっています。
安井医師も、「新型コロナウイルス感染症は、早期にウイルス量を減らすことが重症化を防ぎ、さらには後遺症の可能性も軽減できると考えられています。咳や発熱などの症状がある場合には、速やかに医療機関を受診し、新型コロナと診断されたら、抗ウイルス薬を検討してほしい」としています。

4月以降は、自己負担額が増加

ここで問題となるのが抗ウイルス薬の価格です。去年5月に感染症法上の位置づけが「5類」となり自己負担が生じるようになりましたが、一部公費負担が行われ通常の負担額よりも低く抑えられていました。しかし、今月末に支援策が終了し、4月からは通常の医療体制で治療が行われることになり、負担額が上がります。安井医師は、「新型コロナの治療薬は薬価が高く、4月から窓口負担が3割の方は薬代だけで1万円以上かかるとされています。医療機関では症状に応じて、処方するしないを判断すると思いますが、高額ということでどなたにも処方ということにはならないと思います。早く薬価が下がって、多くの人の治療に使えるといいのですが、医師とよく相談をして、使用の判断をしていただければ」と話しています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第8週(2/19-25)、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナウイルス感染症「令和6年4月からの治療薬の費用について」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏