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症状を感じたら早めに医療機関を受診 症状を感じたら早めに医療機関を受診
帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇します。今回、『感染症・予防接種ナビ』に寄せられたのは、帯状疱疹と診断された48歳の方の経験談です。

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帯状疱疹経験談 48歳 岡山県

最初は首でも捻ったかなぁ?という痛みでした。
その時にシップを貼りましたが、赤い発疹はかぶれたのかと思うだけでした。痛みは酷くなりズキズキ、ヒリヒリ、ピリピリと。気づけば赤い水泡を帯びた発疹が首から肩に出ていてあわてて休日当番医へ。医師は見て直ぐに帯状疱疹ですねと。抗ウイルス薬と痛み止めと塗り薬を処方されひとまず帰り翌日皮膚科へ。丁寧な説明を受け痛み止めブレガバリンとノイトロビンを追加で処方されました。痛み止めを飲めば大丈夫ですが効果が切れるとまたピリピリ、ヒリヒリ。侮れないなぁと感じています。仕事は1週間お休みさせてもらいました。これからこの痛みがいつまで続くか不安です。気づいた時に 早めに皮膚科に行くよう言われました。でも帯状疱疹を知っている方は少ないのではないかと思い経験談を書かせていただきました。とにかく痛い。人生初めての痛みです。神経痛とはこのようなものかとひしひし感じています。


感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「お寄せ頂き、ありがとうございます。直接診察した訳ではないので、分からない部分もありますが、帯状疱疹の典型的な症例だと思われます。帯状疱疹は主に、顔や体の片側に発疹と痛み、水疱が出ます。初めて罹患した場合には、帯状疱疹と分かりにくいため病院へ行くのが遅れる可能性はありますが、チクチクするような痛みが伴う、赤い発疹が複数出ている場合は、早めに受診しましょう。神経の集まる首から上に、症状が出ると特に危険です。痛みを感じてから、どの位の期間で、医療機関にかかられたかが不明ですが、帯状疱疹と思われる症状を感じたら、病院に行くのは早ければ早い方が良いです。帯状疱疹は、抗ウイルス薬での治療となります。抗ウイルス薬を早く飲むと、それだけ痛みの程度と痛みの時間が短くなります。帯状疱疹は痛みを我慢すると、治りが悪くなり、いつまでも痛みが続くこともあります。発疹と痛み、水疱が出たら、すぐに皮膚科を受診しましょう。帯状疱疹は、3ヶ月経っても痛みが残ったりするような後遺症が残ることもあります。そのような場合は、医師に相談してください。また、成人の方は、帯状疱疹予防として水痘ワクチンや帯状疱疹ワクチンを接種できます。特に、帯状疱疹の好発年齢(50歳代)の方はワクチンの接種を検討してみてください」としています。

帯状疱疹の特徴

帯状疱疹は、かつて水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症の可能性があります。加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制状態などをきっかけに、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって発症します。水ぼうそうにかかったことがある人なら約10〜30%、85歳以上の方は約50%が帯状疱疹を経験しているという報告もあります。症状としては体の片側に、時に痛みを伴う水疱状の発疹が発生します。通常発症する部位に、発疹が出現する2〜3日前からかゆみや痛みが発生します。その後、3〜5日間にわたって発疹が現れ、かさぶたになるまでには10〜15日ほどかかります。また、発疹が治っても帯状疱疹後神経痛といって、発症した部位の痛みが長く続くことがあります。

帯状疱疹が増えている要因

また近年、帯状疱疹が増加しているという話を耳にします。それについて安井医師は、
「帯状疱疹が増えている原因の一つには、水ぼうそうの患者が激減したことがあると思います。現在水ぼうそうのワクチンは定期接種となっており、子どもたちが水ぼうそうを発症することは大変少なくなりました。ただしそのことにより、かつて水ぼうそうにかかったことがある人たちも水痘帯状疱疹ウイルスに接することが少なくなりました。それまではウイルスに接することで免疫が維持されていたのですが、ウイルスに接する機会が少なくなったとで、免疫が弱まっている可能性もあるのではないかと考えています」としています。

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンの接種を

帯状疱疹の予防には、帯状疱疹ワクチンが有効です。50歳以上になると帯状疱疹のリスクが高まるので、接種を検討してみてはいかがでしょうか。帯状疱疹ワクチンは2種類あります。また、接種費用の補助が出る自治体もあるので、詳しくはかかりつけ医などにご相談ください。

引用
国立感染症研究所:帯状疱疹ファクトシート(2017年2月10日)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏