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B型ウイルスが感染の中心に B型ウイルスが感染の中心に
厚生労働省が2月9日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第5週(1/29-2/4)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は22.62。前週(令和6年第4週)から約17%増加しました。警報レベル(30人)を超えているのは京都、奈良、福岡、佐賀、熊本、大分、宮崎、沖縄の8府県です。

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インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「昨年末の流行はA型ウイルスが主流でしたが、現在はB型ウイルスが流行の中心となっています。現在報告数が多いのは九州や関西、そして北関東ですが、これからはそこから全国に広がっていき、2月下旬から3月上旬あたりまで感染者は増えていくのではないかと予測しています」としています。

新型コロナよりもインフルエンザのほうが、流行が大きい?

また、年明けから新型コロナウイルス感染症の患者報告数も増加していますが、安井医師は、「新型コロナも報告数を増やしていますが、インフルエンザのほうが勢いを増している感じがします。このまま行くと、新型コロナよりもインフルエンザのほうが大きな流行になる可能性もあります。新型コロナの流行でこの3年間、様々な感染症がそれ以前に流行していたのとは異なる時期に流行しています。インフルエンザも去年は夏場にも患者が報告されるなど、以前とは異なる傾向の流行を見せていました。例年ではそろそろピークを迎えるはずのインフルエンザですが、この先どのくらい大きな流行になるのかというのは、予測が難しくなっています」と語っています。

A型とB型の症状の違いは?

では、A型とB型には症状の違いはあるのでしょうか?安井医師は、「いろいろ言われていますが、A型とB型で症状の大きな違いはないとされています。また、B型は大きな流行になりにくいという話もありますが、過去にはB型が大きな流行になったこともあるので、これも当てはまりません。ただ、A型が流行したあとにB型が流行するという傾向はあるようです。1シーズンに2回インフルエンザにかかったという方もいらっしゃるかと思いますが、A型にかかってもB型にもかかりますので、今シーズン1度インフルエンザにかかったとしても、油断してはいけないと思います。インフルエンザワクチンは、A型とB型の両方のウイルスに効果があるように作られていますので、ワクチンを接種されている方は、B型にかかったとしても発症しないか、発症したとしても重症化になる確率は軽減されていると思います」としています。

学級閉鎖も再び増加傾向に

また、学校・幼稚園・保育園での学級閉鎖が再び急増し、第5週には4911のクラスで学級閉鎖、1019で学年閉鎖、46で休校となっています。学校などで感染が広がると、子どもたちが家庭にウイルスを持ち込んで、感染がさらに広がっていきます。発熱やノドの痛みがある時は無理をせず、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第5週(1/29-2/4)、インフルエンザQ&A
国立感染症研究所:「インフルエンザとは」、「インフルエンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏